2014年10月、3年ぶりにソウルを訪れました。ちょうど私にとっては手術をして丸2年たったので、お祝いの記念のつもりの旅行です。
妹と二人で訪韓したのですが、航空チケットと宿泊先を自分たちで手配して、行き先も現地ツアーに乗らないですべて個人行動。
そこで、ツアーでは行きそうにないところにいく、ということで、おいしい精進料理をいただけるお店「パルコンヤン(ソウル特別市 鍾路区 郵征局路 56, テンプルステイインフォメーションセンター 5F)」を妹が探してきてくれました。ここは3日前までに電話予約をしなくてはいけないのですが、妹は韓国語が達者なので日本から電話予約してくれて、大助かり!
当日は、地下鉄1号線の鐘閣駅から行きました(3号線の安国駅も利用できます)。鐘閣駅を出て大きな通り沿いに北上すると、向こう側にきれいな山並みが見えてきました。北岳山です。そして通りの左側にとても大きなお寺の門が。こちら曹渓寺です。パルコンヤンはこの曹渓寺プロデュースによるお店なのだそうです。
パルコンヤンは曹渓寺から通りをはさんで、向かい側にあるビルの5階にあります。このビル「テンプルステイインフォメーションセンター」は全フロアが仏教関係なのですけれど、とてもすっきりとモダンなデザインとインテリアで統一されたビルです。
早めに到着したので、曹渓寺の美しい菊花の展示を見学してから行きました。エレベーターで5階まであがると、意外にもシンプルな入口。ここで本当にあっているのかなと思いつつ、中に入ると笑顔の店員さんが。
そして会計のところに俳優のリチャード・ギア氏と尼僧の笑顔のツーショット写真が貼られていました。彼は熱心なチベット仏教の信者と知られていますものね。
店内は座敷と椅子席があるのですが、椅子席でいただきました。ランチョンマットに何やらハングルが書かれていました。妹に尋ねると「旬のものをいただき、養生し、ほどほどにいただき、肉食を避けるように」と書かれているとのこと。紙でできたランチョンマットですが、美しいです。
私たちは「十婆羅蜜床」(W27,500)をいただくことにしました。
ニンニクが苦手なのですが、こちらの精進料理は正真正銘ニンニクなし。すごく嬉しい!(実は精進料理といっても、いろいろなお店があって、味が物足りないからという理由で少々入っているところもあるらしい)
さてそれではそれぞれのメニューの紹介と感想です。
下にまとめて写真を載せています。
★蔓ニンジンのサラダ
蔓ニンジンは初めてでしたが、大根よりもちっとした食感。後味は少々苦いのですが、松の実のソースでとてもサッパリといただけました。
★キムチ
こちらの大根のキムチはニンニクが使われていませんから、まったく臭くなくて、酸味と辛味のうまみはちゃんと存在しているのです。いったいどうしたら、こういう味になるのかと妹に尋ねてもらったら、お店の方曰くりんご、梨、塩、唐辛子の粉、生姜を使っているとのこと。
こちらは漬けてから7日頃から味が落ち着き、お店では7日のキムチを出しているそうです。それ以上経つとお店には出さないのだそうです。
いろいろ私たちが熱心に質問するものだから、お店の方は親切に「実は4、5日目からおいしくなってくるのよ。普段出さないけど、ちょっと味見してみますか?」とおっしゃって、本来のキムチよりも少し手前の日数のキムチをご厚意で出してくださいました。
確かに7日目と4、5日目のキムチを比べると、前者は大人の味で、後者の方が爽やか度がうんと増します。私は後者の方が好きだなあと思いました。辛味と酸味がとても爽やかで、何かデザートをいただいているような感じなのです。
こんなにおいしいのだから、どうしてこれを販売しないのかしら?
今迄、もう匂いだけで敬遠して食べたことがなかったのですが、生涯初めて、キムチをこんなにいただきました。
★季節のお粥
ナツメのおかゆです。レンコン、松の実、それからきびもはいっているようです。お腹に優しい感じの味です。トッピングのナツメは甘くてちょうどお粥にあっています。
★三色チヂミ
こちらは緑豆、黒ゴマとレンコン、コチュジャンはいったものです。タレをつけなくても、素材が十分活きているのでおいしいです。
★戒定慧3種
お寺の餃子は中に刻み野菜が入っていますが、もちろんお肉はなし。でも十分コクがあるように感じたのはクルミなのでしょうか?
蒸し豆腐は木綿ぽい食感でした。行者ニンニクの葉で包まれたお寿司は、まったく匂いはありませんよ。ご飯のしっとり度はちょうど良く、ごま風味で、おいしくいただきました。
★シイタケのコチュジャン炒め
見た目はまるで酢豚のようです。でもシイタケが実においしくて、肉厚で歯ごたえがあり、でもしっとりしていて、メインのごちそうという感じがします。シイタケ、ピーマン、レンコンは素揚げされて味付け。そしてヒマワリの種、松の実が良いアクセントになっています。
★エゴマのスープ
エゴマを粉にして作るものですが、コクがあってポタージュのようでおいしいです。きくらげ、青菜、銀杏、しめじ、芋がたっぷり。
★蓮の葉の包みご飯
栗、銀杏、ナツメ、黒ゴマ、松の実、もち米です。日本のおこわよりもっと淡白で、ほんのり甘い感じです。葉っぱにたくさんついたご飯がもったいないなと、スプーンではがしていたのですが、どうやら葉っぱごと食べても良いようです。(ぶ厚いのですが…)
★季節の汁もの
赤味噌の味噌汁のような感じですが、魚や肉の出しが入っていないので、お味噌自体の味がしっかり伝わってきます。
★おかず
錦繍庵のキムチは日本の白菜の浅漬けから臭みを抜いて、辛味を入れた感じ。その他、漬物3種とナムル3種です。レンコンはかりんとうのようでした。
★甘酒
麹の香りがとても爽やかでした。今回お料理にわりとゴマ油が多く使われていましたが、そのあとをしめるにはとても良い組み合わせと思います。
★デザート
さつまいもや韓国のり、みかんを薄くスライスしたものをパリッと素揚げしたものが出てきました。それぞれがとても良い形に揚がっています。
当日は観光客だけでなくて、地元の方々が日曜のお昼を楽しもうと、家族や友人同士で結構来られていました。韓国にいらっしゃる日本企業の方も、お客様の接待に使っていらっしゃいました。お座敷にはたくさん僧侶もいらっしゃって、びっくり。
肉や魚はないのですが、もうお腹いっぱいでした。
韓国、といえば焼き肉に行かれる方が多いと思いますが、精進料理でもこんなに美味ですから、韓国リピーターの方、ぜひおすすめです。
そのビルは2階に精進料理バイキングのお店があって、こちらはもっと普段のお食事、といった感じで予約もいらないようです。エレベーターで2階に降りたら、とてもおいしそうな香りが漂って、10人くらいお客さんが見えたので、次回はぜひこちらにも行ってみたいと思います。
帰りはパルコンヤンのすぐ近くにある仁寺洞通りをぶらぶら散策したのですが、いろんな伝統民芸品のお店や茶屋、アートに関するお店でとても賑わっていました。景福宮からも近いですよ。
|