2014年10月、ソウルの「ティーセラピー」本店(ソウル特別市 江南区 新沙洞 616-6, アゴビル1F)を訪れました。
こちら最寄りの駅は地下鉄3号線狎鴎亭(アックジョン)駅で、2番出口からきょろきょろ、ぶらぶらと歩いて10分以内でした。午前中早めの時間だったせいか、辺りは落ち着いた静かなビル街です。
このお店では体質や、気になる体調に合わせて、ティーセラピーのセラピストからカウンセリングを受けながら、韓方茶の素材を選んでいただけます。店内は足を踏み入れると、若干韓方茶の素材の香りがしますが、とても落ち着いて明るいカフェといった感じです。入り口すぐのスペースはお茶をゆっくりいただけるテーブルが、いくつか置かれています。韓方の素材の足浴をすることもできます。当日いらっしゃったスタッフは全員日本語が流暢で「ここはどこ?」と思わず混乱しそうです。
壁際にいろいろなお茶が置かれていますが、ありがたいことに日本語表記されているので、とてもわかりやすいです。
カウンセリングは奥の個室で、ティーセラピストの先生と一対一でお話を進めます。私は有美(ゆみ)先生にカウンセリングしていただきました。
「韓国にも日本と同じように<ゆみ>という名前があるんですよ」とおっしゃっていました。
当日帰国便までの空いている時間を利用して行ったため、お店での滞在時間は数十分。私と妹2人のカウンセリングと処方をしていただいたのですが、お茶をゆっくりいただく時間がとれなくて、残りのお茶はカップに移して、持たせてくださいました。短い時間でも丁寧にカウンセリングしてくださいましたし、お店の方一人一人の対応が、非常にあたたかく、誠実な印象を受けました。
さて簡単な問診を記入(日本語でOK)して、私の場合は2年前の手術のことをお話したところ、当日は「腎」にフォーカスしたお話となりました。韓方では身体を5つのグループ(五行思想)に分けて考えますが、女性生殖器の場合、腎臓のグループに関連付けて考えるそうです。
腎臓は先天的エネルギーを受け、力を司るところとして見るそうですが、腎臓が弱くなる(そこに関連する臓器も弱っているという風に考える)と、どうなると考えるのか、教えてくださいましたので、ちょっと整理してみますね。(短時間にたくさんの内容をうかがったので、すべて正しくメモがとれたのかは自信ないのですが、一応出しておきます)
腎臓が弱くなると血の巡りが悪くなる
→ 頭で考えて緊張し、気が巡らず固まる
→→ それが火に変わる
→→→ 気が頭に向かってあがる。(口が乾燥する等の症状がでやすい)
→→→→ 一方、気が下の方へ巡らないため、内臓の機能が落ちる
だから、上がっている気を下げ、全身にバランスよく気が巡るようにする必要がある、ということでした。
そこで処方されたのは気と血の巡りを良くするために、せんきゅう、地黄(ぢおう)、当帰(とうき)の組み合わせでした。
せんきゅうのせんは「川」の字、きゅうはくさ冠の下に「弓」です。
地黄は本当は白い根なのですが、焙煎して黒にしたものが処方されます。「黒」は腎を助ける色であり、下に足りない気を補うことになるそうです。それから当帰の名前の由来を教えてくださいました。韓国で戦争で薬が不足した頃、戦地で大けがをして出血した人に、足りない血を補う作用をもたらすものとして使われたのだそうです。
「当たり前に帰る」=「当帰」
これを摂ったら、たとえ大けがをしても戦地から無事に、必ず家に帰ると言われて、よく使われたのだそうです。
何だかそういうお話を聞くと、薬が単に身体の回復のために使われると言うよりも、人と人とをつなぐ役割があり、いろんな願いがこめられたものなのだなあと感じました。
素材にはそれぞれの意味がありますが、だから単純にそれが効くというわけではなくて、「ほっとしながら飲む」「香りや味を楽しみながら飲む」ことが、とても大切だとのことでした。
カウンセリングの後は処方に基づくお茶が出されました。そばには「そのまま食べてくださいね」となつめとはとむぎが添えられていましたが、とても香ばしくて、自然のおいしさがつまった感じでした。
せんきゅう、地黄、当帰はそれぞれ容器に入れてくださいました。ガラス瓶ではないので軽くて便利です。シールには中に入っている素材名と1回分のお茶に使う目安となる量が書かれています。
「ティーポットで1回いれて、その後、またお湯を足してもいいですよ」とのことでした。
自分の身体のために必要と選ばれた素材、それは各細胞だけでなく目に見えない「気」にも働きかけるもの。
人間の身体って、細胞だけ治っても意味ないですものね。
細胞がうまく調和して、それぞれがあるべき姿に働けるよう導き、それが健康をもたらすのだと考えると、韓方茶の効能は実に奥深いものです。 |