2015年12月、静岡県伊東市のRCS(Refresh Care Spa:リフレッシュ ケア スパ)に行って来ました。こちらのホテルのオーナーさんは『医師が知らない余命を延ばすがん養生生活(三交社)』の著者 シャムレッフェル・レックス氏です。2011年春、レックスさんはステージWの腎臓がんと診断され、何もしなければ余命半年、抗がん剤がうまくいっても1,2年と医師から宣告されたそうですが、その後、病院で始められた治療の他に、ご自身で積極的に取り組まれた生活改善や代替療法を取り入れた結果、医師が告げた年月を越えて存命で、本を出された方です。 2015年12月、ホテルを訪れた時、レックスさんはお元気な姿で登場されました。とても穏やかでにこやかな表情で、ぴんと伸びた背筋で、しっかりとした足取り。階段を昇る時も、軽やかです。チェックインした後、いろいろとお話を聞かせてくださいました。 レックスさんは日本生まれで、ドイツ系アメリカ人のお父様と日本人のお母様の家庭で育っていらっしゃいますので、日本語で普通に会話することができます。またレックスさんはご自身の堪能な英語力を活かして、がん治療に関する様々な英語論文などを読みこなし、新しい情報を入手するように努めていらっしゃるそうです。それは日本人にもわかりやすいようにまとめ、ご自身の開催される健康増進セミナーで取り上げられるためです。 そうした勉強の時間は、ご自身の休息と、今でも続けられている教育ビジネスのお仕事とうまくバランスを図りながら、とられているのだとか。 RCSではいろいろな健康増進のための、工夫がなされています。 お風呂、健康器具、食事、お部屋のしつらえ…その細かいところにたくさんのこだわりが詰まっていましたので、私の視点でご紹介したいと思います。 JR伊東駅からホテルまでの道のりは歩いて行くことにしました。町の中をきょろきょろ探索しながら行ったので、十数分。しゃかしゃか歩いたらもっと早く着いたのだと思います。でも普段暮らしていない町の路地裏を入ると、なんだか楽しいですね。ホテルにつくまでに、小さな地元の魚屋さんがあったり、いろんなホテルが見えたり、夕食前の準備運動としてはちょうどいい感じです。
ホテルのお部屋は全部で9室。とてもゆったりと作られています。 全室ガーデンビューのお部屋です。 当日は3階の一番端、線路寄りのお部屋でしたが、ちっとも音は気になりませんでした。いよいよ室内のご紹介です。
<番外編:別のお部屋のご紹介>
【1階:食堂・応接間・セミナー会場】 大変広いスペースは手前が応接セット、その奥がビリヤード台、そして一番奥が食堂です。当日は天井まであるクリスマスツリーが飾られていました。
きっとビリヤードができる人は楽しいですね。 食堂は大変ゆったりしています。 【温泉】 大浴場は2か所、1階にあります。敷地内源泉100%からひかれた温泉が、かけ流しで、24時間入れます。どちらも大浴場浴槽は「蘇生石」で作られ、こだわりの鉱石が浴槽底に沈められています。金属箱に入ったゲルマニウムと、ミカンの袋みたいな赤い網に入ったトルマリン。いろいろな効用を期待することができます。また2か所の大浴場には異なる特徴があり、一方は北投石入りの温泉大浴場+サウナ(サウナは午前5時〜午後11時まで)。もう一方は大浴場+の横にヒノキ浴槽の免疫風呂つき。 男女別で日替わりです。 <北投石入り> 天然ラジウムの微量放射能により細胞が活性化されるホルミシス効果が期待できるものですが、台湾の台北と秋田の玉川温泉でしか発見されていないこの北投石、現在玉川温泉の北投石は昭和27年には特別天然記念物に指定され、採取が禁止されています、RCSでは昭和27年以前に研究用に採取された北投石を使用されているそうです。天候に左右されず、あたたかい浴室内で北投石のお湯にゆっくり浸れるのはありがたいですね。 <蘇生石> 浴槽には蘇生石が使われているそうです。こちら阿武隈山系の一部のある場所で採掘された粒状風化花崗岩で、実用新案登録番号 第3134615号。 泉質はラジウム温泉でケイ素、ラジウム、ラドン、アルミニウム、鉄、マグネシウム、バナジウム、ゲルマニウムなど30数種類の微量元素ミネラル成分が含まれているそうです。
<免疫風呂> 免疫風呂と称されるこのお風呂は、源泉43℃を直接ひねり出して浴槽の中にお湯をため、冷水を浴びてから、数十秒このお湯に浸り、また出て冷水を浴びることを何回か繰り返すもの。浴槽はヒノキで作られていて、使用するたびにお湯を抜いて、次の人はまた新しいお湯をためることになります。 <サウナ> 大人が3人くらい座れそうなスペースがあります。比較的低温です。
<浴室に設置されている備品> ・ネオリア (エキストラバージンオイルとアロエベラ成分入りオーガニック石鹸) ・マジックソープ…固形タイプと液体タイプ (100%天然オーガニックのココナッツオイル・パーム油、ヘンプオイル ホホバオイル配合) ・ フローラルシャンプー でんぷん由来のヘアモイスト成分とガゴメコンブのフコイダン入り ・ スウィートリンス サトウダイコン由来の保湿成分、ヒノキチオール、繭由来成分入り どれもが、とても高品質で高価格のもの。共同浴室に惜しげもなく置いてあることに驚きました。 脱衣所には空気清浄器もあり、置いてあるクレンジングや化粧水もこだわりのものでした。
【食事】 こちら、健康食材、健康調理でおいしさ満点です!! また調理して下さっているご夫婦の人柄もすごくあったかい方。
翌日の朝食はこんな感じ。 新鮮で安全な食材を使って、調理される方の気持ちがこもっていると、料理がいきいきして、おいしくなるんだなあって思います。 こんなにいっぱいだけど、完食!
【庭園】 ホテルの南側がすべてお庭になっています。
1階のビリヤードの前から、スロープを使って外に出ることができます。 美しい日本庭園は夜も昼もきれいです。 川は地元の川が流れ込んできているそうです。 庭の隅にはびわの葉療法に使えるように、びわの木が育てられていました。
【ヒーリング メニュー】 RCSでは別料金で、いろいろなヒーリングメニューを体験することができます。3階にはレックスさんが取り組まれた、健康増進方法のための器具も置かれています。元々が大変手頃な金額が設定されていますが、一部メニューは、そこから更に宿泊者割引あり。 それでは、私が当日体験したものをご紹介しますね。(※価格は2015年12月現在です) 1)岩盤浴 日本庭園の片隅に、小屋があります。ここが岩盤浴専用スペース。 中には岩盤浴ベッドが2台。岩盤浴は床面であることがほとんどですが、ここは高さのあるベッドです。横になる時、起き上がる時、本当に楽々! 膝や腰の悪い方には実にありがたいですね。そして玉砂利タイプではなくフラットな石面が敷かれているので、寝心地も良好。 床から壁、天井まで木で作られているので、木の香りが最高で、ここでずっとすごしたいなって思うくらいです。 全国あちこちの岩盤浴を歩いていますが、ここの岩盤浴の満足度は3本指に入ります。
2)びわの葉温圧灸 皮膚の上にびわの葉、布、紙が敷かれて、もぐさのお灸にすこし圧をかけながら、じんわりとあたためていきます。「熱い」と感じたら、そこで伝えると、次に別の場所にずらしてすすめます。
3)マイクロ波照射+金魚運動 体内に吸収されたマイクロ波が熱に変換されて、内部を温めるもの。痛みを和らげる効果や筋肉の緊張緩和、血流改善が期待されます。 こちらマイクロ波を当てる方向は自分で調整できます。妊婦さんとペースメーカーの方は禁忌です。金属もはずします。 お値段は宿泊者:2,000円(30分・税別) マイクロ波の照射は病院や整骨院などでも取り入れられ、有効性が高く評価されているものですが、 RCSでは医療としての施術ではなくて、あくまでも「利用者が自分の悩んでいる症状やそれに伴う不快感が緩和、改善するといいなあと思って、利用者が自己責任で自分で行う」というスタンス。 私はこれをお腹にあてながら、それと一緒に、足首を左右にスライドさせ、下半身の血流を促すものも同時に試してみました。いわゆる金魚運動です。ただ足をのせているだけなのに、終わった後は足の裏の血行が相当良くなって、痒くなるほどでした。お値段は宿泊者:1,000円(30分・税別)
4)ボディソニック 超音波を体内に向けて当てるもの。超音波(人間の聴力では聞こえない周波数で振動する音波)を生体内に入れることにより、熱エネルギーを産出し、皮下2〜5pの深さまで温める温熱効果を得て、痛みの軽減などを期待するものです。血行促進、新陳代謝活発、老廃物の排出促進、など期待されています。 宿泊者:1,000円(30分・税別)です。 ジェルをつけて金属の部分を体に当てて、動かしていくわけですが、あったまってるなーという感覚は得られなかったのですけど、金属の上に液体をたらすとぷつぷつと動きが見えるので、超音波が出ているんだなあって、わかります。超音波って不思議ですね。
5)イオンフットデトックスバス バスソルト入りのお湯に人間の生体電流に近い微弱電流が流され、足裏の汗腺から不要物を排出すると言われるもの。足裏には1平方センチメートルに300前後の汗腺があるそうです。この微弱電流により細胞レベルで組織が活性化され、新陳代謝を促進されるとのこと。 お値段、宿泊者は1,000円(税別)です。 ヒマラヤ山脈から約3億年かけて自然結晶したという飲食用「ヒマラヤ岩塩ピンクソルト」が今回、バスソルトとして使われました。 こちら、その人の体調によって、終了後の水の色や浮遊物がそれぞれ違うそうです。半信半疑でやってみましたが、自分の水の色の変化にびっくり。 毎日ちゃんとお風呂入っているのになあ…。恥ずかしいほど色がかわりましたが、どういうものかご紹介ってことで取り上げます。お湯の変色を見たくないよ!っていう人は、スクロールしてとばして、ページ下に進んでくださいね。
4分ほど経つと少しお湯の色がオレンジ色っぽくなってきました。
開始から8分経った時、だんだん更に色が濃くなっています、
13分経った時、かなり濃くて、透明度が悪くなってきました。 24分経過時には、もう下の足は見えません。
岩盤浴は1日目の夜にやりました。 それ以外のメニューは翌日の午前中に30分ずつやったのですけど、激しい運動をしたわけでもないのに、結構心地良い疲れが出ました。やっている時は身体に負担はまったくなくて、ただ横になっている、座っているという感じだったのに、やっぱり体内ではいろんな変化が起こっていたのかなあ? そのあとあんまり眠いものだから、30分ほど仮眠をとったら、起きた時はすっきりしました。そしてまたお風呂に入らせてもらって、解毒完了。 なお、当日試していませんが、エステルームとリラクゼーションルームはそれぞれ専用に用意されていました。
【共用施設】 ランドリーやカラオケがあります。
ランドリーは3階に洗濯・乾燥機が設置されています。 コイン式ではないのですが、ランドリー使用料として1回300円を支払えば、専用の有機洗剤で、洗濯・乾燥をすることができます。 アイロンも備えてあります。 長期滞在を予定される方には、大変便利ですね。
お部屋の一室が「響」という名のカラオケスペースで、こちらは利用は無料です。 JASRAC契約店で、カラオケは毎月新曲が入っているとのことでした。
【周囲の環境:産霊神社】 ホテルの前を流れる川を渡ると、すぐそこが産霊神社の境内になります。 こちら小さな神社ですが、大変清々しい感じの場所。 案内板によると、祭神は産霊神(むすびのかみ)/大山祇命(おおやまずみのかみ)で江戸時代、第六天社と称し、第六天と小川地区の鎮守神であった山の神とを併せ祀っていたのだそうです。創建年代は不明ですが、元禄元年(1688)以来の上梁文(棟札)や文化九年(1812)銘の鰐口が残されているそうで、産霊神社という名前になったのは、明治時代以降とのこと。 樹齢数百年を超える椎、欅、榎がある場所で御神木とされているそうです。 ホテルの周りをちょっと散策したいなという時、良い場所です。
RCSは自分の身体、健康、食事、水、空気、自分のこれまでの時間…いろんなことを考えるきっかけになるところです。 レックスさんはがんと診断された当時、教育ビジネスの会社を率いて、猛烈に働いていらっしゃいましたが、だんだん仕事の内容を他の人々に任せられるようになり、会社に顔を出す回数を減らされたのだそうです。その分、増えた時間や気持ちの余裕は、ただ漫然と自分のために費やすのではなく、社会への貢献へとつなげていらっしゃいました。自分が苦労して得た世界各地の良いと思われる情報を独り占めするのではなく、他のがん患者さんにもシェアしていくようになっていったのです。 目的意識をしっかりと持ち、生きていくことは自分にとっても張り合いのある時間を作り出すことになったのでは?と思いました。 また、家族の病気がわかった時、本人以上に周りの家族が心を痛めるもの。奥様の公子さんは当日、まったく苦労話をされず、笑顔がいっぱいでした。ご主人の病気が発覚した当時は、たくさんの心労を抱えていらっしゃったと思います。でも、ただ思い悩むことに費やすのではなく、家族のために「良いのではないか」と思えるアンテナがぴぴっと働いた時に、悲しみ、悩む力を、希望へかえていくための行動力を持っていらっしゃったのでは? そうした姿はとても大切だなって思いました。びわの葉温圧灸の勉強も、ご主人のために始められたもので、今では施術だけでなく、その養成指導資格もとられたそうです。 RCSはおいしい食事と良いお風呂、いろいろ身体に良い方法を体験し、そこから取り戻した自分の健康を、どう人生の時間に活かしていくか、考えるきっかけが得られる場所ですね。
人間の身体と心は食事、お風呂、そういった基本的なことから 立て直しが効くと、自分の力を信じてみましょう! 2015/12/23 長原恵子