病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
 
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美しい紅葉と水と時を感じられる石神井公園

東京で展望台に上ると、眼下に広がる建物の密集に圧倒されますが、そんな東京の中でも、住宅街を抜けたすぐそこに、ひときわ緑豊かで、たくさんの水をたたえている…そんな場所がいくつかあります。2016年11月中旬、訪れた東京都練馬区の「石神井(しゃくじい)公園」はまさにそういう場所で、とても落ち着いた穏やかな気が感じられる場所でした。常緑樹に混じって赤、オレンジ、黄色の色とりどりの紅葉は、曇り空の下でもとてもきれいでした。石神井公園は20数年前、学生の頃に一度訪れた記憶があるけれど、当時それほど特に印象を持たなかったのは、どうしてなんだろう。今になってしみじみ、良い場所だなあって思えるのは、年をとったせいなのか? それはさておき…。

最寄駅は西武池袋線の「石神井公園駅」です。
改札を出て右側に南下して、「こうえんのさんぽみち」と書かれた装飾と、かわいいフクロウ(?)の止まり木のような街灯のある商店街を進みます。

Lana-Peace 石神井公園 Lana-Peace 石神井公園

最初の信号を左折して直進すると、石神井公園端のボート乗り場のあたりに出るし、左折しないで、商店街をもうちょっと直進し、郵便ポストのところで左折して進むと、石神井池の真ん中あたりに出ていきます。
池の周りは紅葉がとても美しくて、寒さの賜物ですね。

Lana-Peace 石神井公園

石神井公園は大きな池が2つあります。
駅に近い東側の方が石神井池で、西側が三方寺池。

石神井池は三宝寺池から引かれた水路を堰き止めて、作られた池。足でこぐスワンボートで楽しむ方も何組かいました。のんびり釣り糸を垂れている方も、ちらほらと。

三方寺池はかつて、武蔵野三大湧水池と数えられていたそうですが、今は時代も変わり、井戸から汲み上げた地下水を池に流しているそうです。三方寺池には沼沢植物群落があり、自然に近い形で保存できるよう工夫されています。

Lana-Peace 石神井公園 Lana-Peace 石神井公園
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三方寺池のほとりは、歴史を感じさせるところがいくつか登場します。
室町時代、この地は石神井郷を支配していた豊島氏のかつての居城、石神井城の空堀と土塁の遺構が三方寺池の南側の台地にあります。

 

石神井城跡を過ぎて、池沿いを歩くと、水神社の鳥居や厳島神社も、見えてきます。 静かな空気の中で、神様たちも確かにここで息づいている、そういう雰囲気が漂う場所です。

Lana-Peace 石神井公園
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Lana-Peace 石神井公園
 
Lana-Peace 石神井公園 Lana-Peace 石神井公園
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20mを越す、背の高いメタセコイアやラクウショウが、空に向かって背を伸ばしています。その見事な枝ぶりを支えている大地ってすごいですね。

竹の子みたいなラクウショウの気根も見ることができます。
Lana-Peace 石神井公園

池の周囲の木々は色とりどりの彩色で、美しい葉姿でした。
自然の営みは個性的で、それぞれに美があって、本当に素晴らしいですね。
紅葉に要したエネルギーが、池周辺に充満している感じです。

Lana-Peace 石神井公園 Lana-Peace 石神井公園
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池には橋が架けられているので、向こう岸まで渡ることもできます。
土の道もありますが、木道が整備されているので、雨上がりの翌日でも、比較的歩きやすい場所です。
公園のほとんどが平らなため、脚力に自信のない方もきっと楽しく散策することができると思います。 公園周囲はゆるやかな坂になっていますが、階段もあります。

Lana-Peace 石神井公園 Lana-Peace 石神井公園
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Lana-Peace 石神井公園

池の浮島は水鳥の隠れ家になる湿生草地を増やすために設置したのだそうです。葉っぱは虫たちの飛来する場所に、根は魚の産んだ卵のおうちに…水鳥以外にもいろいろな生物にとって浮島は恩恵がありそうです。

Lana-Peace 石神井公園
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Lana-Peace 石神井公園
 

石神井池の南側には池淵史跡公園が隣接します。
縄文時代の住居柱跡に、目印となる丸太が建てられていたり、明治20年代の古民家 旧内田家住宅が移築されていました。

Lana-Peace 石神井公園
そして、池淵史跡公園の隣の敷地に立つ石神井公園ふるさと文化館(入場料は無料!)は、一階においしそうなうどん屋さんが・・・それはまた今度、ということで、展示コーナーに進むと、 練馬の歴史をこどもたちが楽しめる体験型展示が行われていました。遺跡から発掘された土器もあれば、東京オリンピックの頃の新婚さん家庭を再現した、というお部屋もあり、各時代の香りがぷんぷんと。

さて、その中で面白いものを発見!
練馬大根が価値あるものとして扱われていたことが感じられる、昔の古文書です。こちら天保12(1841)年2月、豊島郡土支田村の金治郎さんと親類の藤五郎さんが、大沢修理太夫に送ったもの。
金治郎さんは武家屋敷の下掃除をするため、年間金二両支払うことを契約し、物納する場合は沢庵漬千五百本で良い、ということだったそうでが、近年の大根価格の値上がりに伴い、大根千五百本は金二両以上の価値があるから、差額の一両二分を下さいと頼んだもの。練馬区登録文化財の荘家文書です。
Lana-Peace 石神井公園 Lana-Peace 石神井公園
向かって左(↑)が現物。右が書き下し文。現物は等間隔の虫食い跡が、折り畳まれていた長い年月を感じさせます。

下掃除はお手洗いのお掃除のこと。尿や便を回収するわけですが、どうして掃除をしてもらう方が払うのではなくて、掃除をする方がわざわざお金を払ったのかなあと思って、あとで調べてみたら、当時は糞尿が農作物の貴重な肥料として用いられ、特に武家屋敷の屎尿は高値で取引されていたのだとか。
江戸時代、確かに練馬に住んでいた人々の、生活の息遣いが伝わってきそうな古文書でした。
 
美しい晩秋の紅葉のエネルギーや豊かな水をたたえた石神井公園。
歴史を感じられる場所で散策後、きっと気分も一新します!
2016/11/27  長原恵子