自然と古代人がリンクする赤塚植物園 |
2016年12月初旬、東京都板橋区の板橋区立赤塚植物園に行ってきました。こちら地図で見ると、都営三田線西高島平駅を上、東武東上線下赤塚駅を下としてちょうど真ん中あたりに挟まれた場所。周囲は静かな住宅街です。
赤塚植物園は赤塚の丘陵地を活かして作られた区立植物園。温室などはありませんが、たくさんの工夫が施されている植物園です。
入園料は無料にもかかわらず、日本庭園があったり、万葉集にちなんだ庭園があったり、ハンディキャップのある方にも工夫されていたり…と非常に充実した内容です。当日週末でしたが、黙々と丁寧に庭園内をお掃除しているスタッフの方もいらっしゃって、隅々まで大事に手入れされているなあという感じを受けます。
木々の葉は緑、黄色、オレンジ色、赤色…と色とりどり。残念ながら季節柄、咲いているお花は僅かだったけれど、いろんな実がなっていました。 |
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門を入ると右側に事務所がありますが、そこには庭園内でとれた木や植物の実や種が個別にずらりと展示されていました。普段目にすることのないものまで、たくさんあります。
冬の乾いた青空の下、紅葉がとても美しかったです。 |
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どの木もそれぞれ美しくて、23区にいながらたちまち気分は森林浴です。
寒さの中でかれんに咲いている花や、結実する実は、とっても健気に見えますね。 |
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こちら足元は自然の土やチップを敷いて、ふかふかした感触を味わえるところもあれば、ベビーカーなどでも散策を楽しめるような整地された道もあります。
落ち葉が積もって、
斜面のあたりはちょっとしたハイキング気分。 |
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そして素晴らしいなあと思ったのが、目の不自由な方が楽しめるための工夫。庭園では私は初めて見ました。植物園入口を入って左側はフラットな地形が続きますが、その先には「香りの散歩道」と名付けられた散策道が。
そこには香りのある木が集められていて、ハクモクレン、ライラック、ハマナシ、ロウバイ、コウメ、タイサンボク、キンモクセイ…道の手すりには点字板もあって、たぶん木の名前が書かれているのだろうと思うのだけど、手すりのすぐそばには、もう少し長文の点字板がありました。 |
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それからこの植物園、「赤塚植物園サポート事業」によって園の整備を行ったそうです。 |
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それは事業参加費を個人や団体などに募り、その方のお名前やメッセージを添えた植物名板が設置される、という事業です。この解説板のアイディア、とても良いですね!
無料の庭園なのに、解説板がしっかり整備されているのはそういうおかげ。 |
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植物園の入口を直進すると、右側にバラ園があります。見頃は5月と10月だそうですが、いくつか遅咲きのバラがきれいに咲き残っていました。 |
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バラ園の奥は日本庭園です。なんだかいきなりどこかの名刹や高級旅館に迷い込んだみたいです。 |
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日本庭園脇の斜面を上っていくと、芝生広場に出ますが、ここにはベンチもあるので一休みできます。そして細い道を渡ると万葉・薬用園があります。万葉集や昔の和歌に登場する木や植物が植えられています。 |
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ここからは赤塚植物園周辺のご紹介です。
赤塚植物園の前から東側のバッティングセンターに向かって歩くとすぐ北側が乗蓮寺の敷地になっています。こちら赤塚城 二の丸跡に建てられており、東京大仏と呼ばれる阿弥陀如来坐像があります。青銅製の32トン、座高8.2m(頭部3m)、蓮台2.6m、基壇地上2m、完成まで3年の月日を費やし、延べ人数3,500人の手によって、1977(昭和52)年に完成したそうです。台座裏には大仏を取り囲むように、大賀蓮、毎葉(まいよう)蓮、剣舞(けんまい)蓮の小さい蓮の鉢が置いてありました。枯れた蓮の鉢は、水面がイチョウの葉だらけになっていたけど、開花時期にはきっと美しいと思います。 |
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そして東京大仏から北上すると、板橋区立郷土博物館があります。 |
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さて板橋区立郷土博物館は無料(特別展がある時は有料)ですが、区内で出土したものなど、いろいろ展示してありました。 |
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こちらの壺型土器やシカ形土製品、勾玉は板橋区内の四葉地区遺跡からの出土品。そしてこちらの勾玉はなんと糸魚川産翡翠製。長さ74mm、重量84.6g。国内最大級。新潟からはるばるたどり着いた勾玉! |
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古民家や納屋、井戸小屋なども移築されています。
写真の向かって左端の大きな樽は、板橋区大門の漬物商が使用していた漬物樽で、大根が4,000本も入るとのこと。そして樽は丈夫で、100年もつと言われていたそうです。 |
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自然の持つ美しさや、古代人の人生がリンクする…そんなことが
心に浮かんでくる赤塚植物園とその周辺エリア。お勧めです!
2016/12/18 長原恵子 |