病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
 
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御裏林の歴史が育む豊かな自然の青葉山
―東北大学植物園―

2019年7月に宮城県仙台市で開催された小田和正さんのコンサートに行った時、小田さんは東北大学ご出身ということで、東北大学から依頼を受けて作られた同校の校友歌「緑の丘」をギター演奏と共に歌われました。東北大学のキャンパスのある地名と共に過去、現在、未来の時間が織りこまれたとっても素敵な歌。こちらは一般の音楽関連ショップでCD購入や音楽ファイルのダウンロードができるわけではなく、東北大学に寄付をした方へのお礼として、もしくは東北大学の生協で店頭販売しか行われていないものだと知りました。そこでコンサート翌日、東北大学の川内キャンパスに出かけて、川内厚生会館生協で早速購入しました。

その帰り際、川内キャンパスの中を散策してみると、いたるところに緑が溢れるまさに「緑の丘」なのです。そして東北大学付属図書館から中善並木を南下すると、キャンパス南端に青葉山が東北大学植物園として保護される形でありました。植物園と称していても、温室の中で植物が……というわけではありません。オープンエアの山全体が植物園です。今日は宮城県仙台市の青葉山(東北大学植物園)をご紹介したいと思います。

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東北大学植物園は東北大学関係者ではない外部の人も入園料大人230円、小中学生110円を払えば入園できます(東北大学の学生さんと職員と学生さんは無料です)。
現地の解説板や東北大学HPによると(※1)、この辺りは慶長5(1600)年に伊達政宗が築き始めた仙台城の背後にあることから「御裏林(おうらばやし)」と呼ばれ、400年以上前の当時から現代に至るまでほとんど人手が加えられることが無かったところでした。そのため自然植生のモミの美林が残され、ここは内陸部におけるモミ林の北限地でもあるそうです。小田さんの「緑の丘」の中でも「明けてゆく 青葉山に かけがえのない 今を想う」(※2)とその名が登場する青葉山ですが、昭和33(1958)年に東北大学に移管され、理学部附属植物園として公開を開始された後、学術上貴重な動植物が多く存在することから、昭和47(1972)年、敷地の約8割に相当する約40万平方メートルが国の天然記念物「青葉山」として指定されたのでした。

植物園の出入口は2箇所あります。川内キャンパス側正面入口(植物園本館入口)と青葉山キャンパス側入口(青葉山ゲート)です。今回は川内キャンパスから来たこともあり、植物園本館入口から入って見晴台に向かい、青葉山ゲートから出るルートをとりました。

青葉山生息の動植物の標本や剥製が展示解説されている植物園本館を通り抜けていくと、目にも鮮やかな芝生の緑が広がります。

こちらの句碑は東北大学名誉教授(文学研究科)の柏原眠雨氏が主宰する俳誌「きたごち」創刊20周年を記念して建立されたものです。句碑には柏原眠雨氏の句「弓立ててゆくキャンパスの木の芽道」が岩手県の束稲山産の御影石に刻まれていました(※3)

昭和48(1973)年3月31日、文部省・東北大学により設置された現地解説板(※4)によると、青葉山の大部分はモミ林とアカマツ林なのだそうです。上記図1の中でモミは鶯色の部分、アカマツは黄土色の部分ですから、一目瞭然ですね。当時、ここで野生する高等植物は666種、コケ植物137種、鳥類は73種が記録されていたそうです。自然の中でこれだけ観察することは容易なことではありませんね。

句碑から右側へ進むと山の中へ、そして句碑のちょうど下あたりが高山性植物のロックガーデンや湿性植物園となります。まずはロックガーデンや湿性植物園の辺りをのんびり散策です。流れる小川は湧水なのでしょうか。水がとても澄んでいます。

いよいよ山登りの始まりです。

ようやく見晴台に到達しました。ここは昭和33(1958)年、東北大学に移管される以前、旧日本陸軍や駐留米軍の訓練場として使用され、周囲の樹木が小さく仙台の市街地を広く見渡せたことから「見晴台」と名付けられた(※5)のだそうです。今では芝生の周りを背の高い樹木が見守るかのように立っていました。

小雨が降ってきたので、青葉山ゲートに少し急ぎ足で向かいます。

「動物へのあいさつ」という鐘がありました。散策途中でばったり動物たちに出くわすこともあるでしょうから、鐘の音で人間の存在をお知らせするのも、ここを生活の場にしている動物に対する礼儀ですね。

今回の森林浴はスケジュールと天気の都合上、のんびり山を歩きながら自然をゆっくり堪能するわけにはいかなくて、おおむね1時間の森林浴でしたが、清々しい空気をたくさん吸い、フィトンチッドに包まれた細胞は身体全体がリフレッシュできた感じです。様々な種類の木々や植物を見ることができ、400年前の人々も同じような光景を眺めていたのかなあと感慨深いです。場所によっては結構、傾斜が急な所もありましたが、登山道・散策道はどこも歩きやすく整備されていました。その姿は見なかったけれども、遠く木々の上から鳥の声が聞こえ、急峻な斜面にもしっかり根を張る植物もあり、途中で折れてしまった木の幹がそれでもちゃんと立っていたり、自然の命や強さを感じられる場所でした。

そして最終、無人の青葉山ゲートに到着すると、ちょうど東北大の量子エネルギー工学専攻本館前、駐車場のところに出てきます。青葉山ゲートから右手に進むと素敵な流線型の建物が。こちら「こもれびカフェ」という学内カフェで、コンビニエンスストアも隣接しています。時間がなかったのでカフェはまたいつか訪れた時に、ということで、その前の横断歩道を白い建物の機械系1号館側に向かって渡ると、すぐ左手にバス停が2つ見えてきます。

仙台市内の観光要所を巡る循環バス「るーぷる仙台」のバス停「青葉山植物園西」がありました。そばには市営バス10系統の「青葉山植物園西」バス停もありますが、こちらは本数が少ないのでご注意を。その他、アクセスに関する情報は東北大学植物園のページ(※6)をご参照ください。
東北大学植物園の開園期間は春分の日から11月30日まで、午前9時から午後5時までですが、年間パスポートも販売されているので、お近くの方は天然記念物の豊かな自然を季節の移ろいと共に楽しむのも良いですね。近くに住んでいれば何度でも足を運びたい場所でした。

 
<図・写真>
図1 東北大学植物園
   (東北大学植物園 園内利用案内図パンフレット画像に当方赤丸追加)
写真 すべて当方撮影(2019/7)
 

<参考・引用ウェブサイト>
※1 東北大学植物園HP・現地看板 
※2 東北大学校友歌「緑の歌」作詞・作曲 小田和正
※3 東北大学2009年ニュース「柏原眠雨氏の句碑」除幕式開催
※4 東北大学植物園現地看板
※5 東北大学植物園現地看板
※6 東北大学植物園 アクセス

 
アカデミックなエリアに静かにたたずむ青葉山・東北大学植物園。
400年前の頃から今も続く自然をしっかり満喫できる場所です。
2019/8/19 長原恵子