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病気と一緒に生きていくこと
出来事の意味

病気のためにお子さんが長く入院したり、自宅で療養されている時、体調の改善が日々はっきりと見られない時には、こんな風に思う方もいらっしゃるかもしれません。
「毎日過ごす時間が、何か無意味に思えてしまう…」
「あー、今日も変わり映えのしない一日だったなぁ」
そのような気持ちの日々が続くと、沈んだ心を引き上げるのは本当に大変です。
今日は神谷美恵子先生の言葉をご紹介したいと思います。

過去のいろいろな出来事のなかでも特に意味ある瞬間が暗い忘却の淵から星のように光って浮かびあがって見える。
その時、ひとは自分の過去の歴史に対して一つの選択を行なっているのである。
そこに意味を賦与するのは現在の自分であり、現在自分の採用している価値体系なのである。


引用文献:
神谷美恵子(1980)『神谷美恵子著作集 1 生きがいについて』
みすず書房, p. 37

神谷先生のお考えに沿ってみると、何か意味のあることが特別に起こるのではなく、平凡に見えるような毎日の出来事の中に、実はたくさんの意味があって、どんな意味を見出すかは自分次第であり、どんな意味を見出すかは、その人の持つ価値体系によって変わるということが言えますよね。
ここで「価値体系」という言葉が出てきましたが、神谷先生はそれをどのような意味合いで使われているのか、価値体系に関して記された文章を見てみましょう。

価値体系というものが、心の世界に一定の秩序と統合を与えていることは、このような実存的危機において、この上もなくはっきりとあらわれてくる。
骨組と支柱をうしなった心の世界は、ばらばらとなり、支離滅裂となり混とんとなるほかないのである。


引用文献: 前掲書, p. 115

価値体系とは、心をしっかりと形作る軸を作り出すようなものだと考えることができますよね。
あっちにも、こっちにもとフラフラ心が揺れて落ち着かないのではなく、ぶれない自分を作り出すものなのだろうと思います。
「価値体系」によって出来事の意味を見出す時、それが自分の心をますます苦しめるような意味にならないように…と思います。自分の心をしっかりと引き上げてくれるような働きを持つものであってほしいと思います。
出来事に意味を見出し、そこから自分を奮い立たせようとすることができるのは、人間だからこそできることですから。

 
今日、お子さんに起こった出来事が、何か良い方向への導きへとつながるような意味を持つと考えられますように。           
2013/8/29  長原恵子