病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
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病気と一緒に生きていくこと
怒りのエネルギーを成長に変える

お子さんの入院生活、自宅での療養生活が長びき、自分が好きなように過ごせる時間や機会が制限されていくと、お子さんは苛立ち、怒りの矛先をご両親に向けることがあります。しかし、ご両親も仕事や家事、育児、看病に忙しい日々を送っていると、その怒りに毎日丁寧に向き合っているわけにもいきません。お子さんが怒りのモードであることに慣れてしまい、「今日も何だか機嫌が悪いなあ」と思うだけで、受け流してしまうこともあるでしょう。また、ひとまずお子さんの怒りを助長させないようにと、まるで腫れものを触るかのごとく接することも多々あるでしょうが、お子さんはそれを敏感に感じ取ってしまいます。親のそういう態度に何か言いようのない苛立ちを、ますます感じてしまうこともあります。

でも本来、怒りはお子さんの心の中でくすぶっている感情、自分でももてあましている強い力を持った感情、そうした心の内側の圧力を解放するために大切な方法であり、手がかりであると思うのです。

アメリカ人の少年トミー君はホジキン病を患い、パトリシア・ノーリス先生の「バイオフィードバック」を行なっていましたが、こんな言葉をノーリス先生にお話されたのだそうです。
(ノーリス先生についてはエッセイ「変わった自分、好きになった自分」でもご紹介しています。)

「患者にとっては怒りを外に出すのは大事なことなのに、この点についての周囲の理解やサポートが足りないと思う。
ぼくが治ったのはこころのカだと思ってるよ。
でもがんのせいでぼくの怒りもふくれあがってしまっていた。
ところがみんなはぼくのからだを丈夫にすることばかりに気を使って、ぼくに怒りを吐き出すことをさせてくれなかった。
みんな『君がちゃんと生きられるように助けてあげなきゃ』とそればかりだった」


引用文献:
パトリシア・ノーリス「癒しー子どもたちから学ぶこと」
R.カールソン, B. シールド著, 上野圭一訳(1999)
『癒しのメッセージ ー現代のヒーラーたちが語るやすらぎと治癒』春秋社, p.235

決して両親や、医療従事者はトミー君のことを理解していなかったわけではなく、サポートしていなかったわけでもないはず。でもトミー君の心の中が怒りでいっぱいだった時、トミー君の生命を救うこと、すなわち細胞の集合体としての生命を救うことに一生懸命だったのだと思います。
そんな時、トミー君は自分の心が置き去りにされたような気持ちになったのかもしれません。

親がお子さんの怒りを修正しようと、あれこれ画策する必要はないのです。お子さんはただ、怒りをしっかり表出させる機会を与えてくれることを、欲しているのです。それは自分に何か一大事が起きた、とうことを周囲が認めてくれたことにもなります。

怒りを十分表出できた時、何か茫然とした、空っぽの感覚に襲われてしまうお子さんもいらっしゃいます。その時、あなたがいつもと変わらない態度でそばにいて、いつものように振る舞うことによって、お子さんは自分の本来の日常へと帰るきっかけを、手にするのだと思います。
それは、ぐちゃぐちゃだった心の中が落ち着いて、前に進むことへとつながるのだと思います。

怒りはすごく大きなエネルギー。
だから怒っている時は、チャンスです。
お子さんの身体の中にそれだけ大きなエネルギーを生み出す力がある、ということを意味するのですから、それを回復に向かうエネルギーに変えれば良いのです。

「子どもには化学療法で何を治療しているのかはよくわからない。でもバイオフィードバック法ではこころががんに勝つためにどんなことをしているかがわかるんだ。
大変だったけれどたくさん学んだ。
今は与えられた生を生きるというところから物事を考えるようになった」

引用文献: 前掲書, p.235

怒っていたトミー君が、こんな言葉を言えるようになるって驚きです。
やっぱり怒りを持つお子さんの底力って、すごいですね。怒りが大きかった分、それを別の方向へと向けた時により高く跳躍する度合いは、半端なく大きいのだと思います。

 
お子さんの秘めるエネルギーが、病気の治癒につながり、人生を切り開く方向へと流れて行きますように。
長原恵子