病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
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病気と一緒に生きていくこと
雲の上で引き受けた人生

2015年秋、生まれる前の記憶を持つお子さんご本人から、直接お話を伺う機会がありました。その記憶とは、輪廻転生といった考え方の中で、今世の一つ、二つ前に別人として生きていた当時の記憶ではなく、今世で生まれる直前、まさに準備期間中にあたる時期の記憶です。

そのお子さんは、生まれる前、お空の雲の上のおうちに住んでいて、お世話係の方と楽しく過ごしていたのだそうです。そして、空からこの世界を眺めていたのだとか。ある日、ある女性を見つけて、この人の所に生まれてきたいなあと思ったのが、今のお母さんだったのだと…。お子さんがその女性を見つけた時、まだその女性は小さなこどもだったのだとか。

そして、そのお子さんは神様から、自分がある病気の身で生まれることを告げられたのだそうです。「生まれる時、こういう病気があるよ」って。そのお子さんは「いいよ」と答えたのだそうです。そして「別の病気に変わるかもしれないよ」と神様に言われたそうですが「それでもいいよ」と答えたのだそうです。神様に無理強いされたわけでもなく、そのお子さんが、気負っていたわけでもなく…。そして確かに、その病気を持って生まれてきたのです。
手先を器用に動かして、ブロックで遊びながら自然にさらりと話すそのお子さんの姿に、何か神々しい思いがいたしました。

そのお話を伺ったちょうど3年前、当時、私は自分ががんの疑いがあると診断され、開腹手術しなければ正式な診断はつかないからと、手術に向けて検査や入院準備を進めていた頃でした。手術の結果、やはりがんだと確定診断されたわけですが、当時「どうして私が?」「誤診なのでは?」「自分の身体に裏切られた…」当時の私はそんな思いでいっぱいでした。

でも3年経って、そのお子さんのお話を聞いた時、自分の心の中にあるざわざわしたさざ波が、すーっと引いていくかのような気がしたのです。
そのさざ波は、普段はちっともないのだけど、たまに何かいろんなことが重なって、自分の心がどすんと落とし穴にはまってしまったような時に、起こってくるもの。

そのお子さんの言葉によって、こんな思いが心の中に響いたのです。

「私も生まれる前に、自分の病気のことは全部知っていて、それを自分が<それでもいいよ>と、承知済みだったのかもしれない。」

病気のことは承知済みで、それを丸ごとひっくるめて、自分がどう生きていくのか…「それ」が、今世の私の人生で、私自身が考えて、実行すべきことなのかもしれないと思えるようになったのです。

「雲の上のおうちの話」を聞いて、中にはそれを子どもの虚言だと片付けてしまう人もいるかもしれません。でもその話を聞いている時、そのお子さんが、おもしろおかしく、嘘をひねり出しているような感じは、まったくありませんでした。そのお子さんのお母様のことも存じ上げていたのですが、とても誠実で、一生懸命な方。そのお母様が出産後から、本当に文字通り心を砕いて育ててこられたお子さんは、小さい頃からそういう「雲の上のおうちのお話」を何度となく繰り返していたそうです。
淡々と、ただ自分の知っていることを思い出して、語ってくれたという感じで、「そのお子さんの体験した真実だ」と私には思えました。

きっと、私の頭の中には同じような体験の記憶があったのだろうけれども、情けないことに、それはすっかりどこかに飛んで消えてしまったのでしょう。そして、他人がどう考えようと、少なくとも私の心は、そのお子さんの言葉によって、何か落ち着き先を見つけることができたのです。
私はそのお子さんに心からの感謝の気持ちでいっぱいになりました。

病気とともに生きていくことに、たとえ大きな苦労があったとしても、それを乗り越えようとする力を人はそれぞれ持って生まれてきたことに、気付かせてくれたから。

Lana-Peace 2015年3月 太平洋上空

こちら2015年3月、アメリカ ポートランドを訪れた際、アメリカ大陸 上陸直前、機内から撮影した太平洋上空の写真です。
いろんなところにいろんな雲。
「空の上の雲のおうち」には、生まれ来るこどもたちのたくさんの魂が、楽しく過ごしているのかな。

 
「どうしてこんなに病気に…」悩む時間は必要なこと。でもそれを糧にステップアップしていくことを、みんな生まれる前に約束してきたはず…。
2015/11/11  長原恵子