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悲しみを受け入れた先の新しい道
今日はパール・バック氏について取り上げたいと思います。パール・バック氏のお名前は、1938年、ノーベル文学賞を受賞した文学者としてみなさんもご存知かもしれません。しかし今日取り上げたいのは、そうした一面ではなく、病気のお子さんの一人のお母様として、どのようにお子さんの病気に向き合ってきたのか、という点です。

バック氏は1920年、初めてのお子さんを授かりました。一生懸命育てますが、そのお子さんは3歳になっても言葉を話すことができませんでした。バック氏は診断を求めて、あちらこちらとさまよいました。フェニルケトン尿症であったことがわかったのは、後の話となります。

フェニルケトン尿症とは、食べ物の中に含まれるフェニルアラニンを代謝する酵素の働きが十分ではないため、フェニルアラニンが身体の中にたまって、脳の発育障害を起こす病気です。この病気は新生児の頃から治療ミルクを主体とし、たんぱく制限の食事を取り入れることによって、健康に成長していくことができます。現在日本では、赤ちゃんのかかとからほんの少しの血液をいただいて行う「新生児マス・スクリーニング」によって病気が調べられるので、早くから食事療法にとりかかることができます。しかしながら、残念なことにバック氏のお嬢さんが生まれた頃は、まだその検査が確立していませんでした。
バック氏は何がお嬢さんの発育に支障を来たしているのか、わからないまま、苦悩していたのです。
しかしさまざまな紆余曲折を経て、バック氏は次のような境地にいたりました。

耐え忍ぶのは、ただのはじまりではありません。悲しみを受けいれなければならないし、悲しみを十分に受けいれると、そこから自然に新しい道が開けることを知ってほしいのです。というのは悲しみには錬金術に似たところがあるからなのです。つまり、悲しみが知恵に変えられることさえあるのです。悲しみが喜びをもたらすことはありませんが、その知恵は幸福をもたらすことができるのです。


引用文献:
パール・バック著, 伊藤隆二訳(1993)
『母よ嘆くなかれ[新訳版]』法政大学出版局, pp.6-7

悲しみを十分に受けいれると、知恵に変わり、それが幸福をもたらす…そんなにすごいことが、起こるのだろうかと疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

バック氏は、はじめから悟りを得たような穏やかな胸中だったわけではありません。ご自分で振り返り、最初の段階は支離滅裂だったと回想されています。ではいったい、何をきっかけに変化していったのでしょう…
パール バック氏のお話は、大変心打つものがあります。
これから数回に分けて、みなさんにご紹介したいと思います。

 
パール バック氏の体験談は、年月を経ても色褪せることなく、力になるものだと思います。
長原恵子