病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
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アメリカの神経解剖学者のジル・ボルト・テイラー先生が左脳出血から回復された(詳細はこちらをご参照ください)中で、自分の気持ちを身体の細胞へ伝えることは大きな力を発揮しました。そして、回復するには、周りの人々の気持ちからも、大きな影響を受けたのです。

もし、息をすることしかできなくても、生きていること自体を喜べばいいのです。GGとわたしは一緒に息を深く吸い込みました。もし転んだら、ふたたびまっすぐ立てたことを喜びました。
もしよだれを垂らしたら、嚥下できることを祝福したのです!
できないことにくよくよしてもしょうがない。
なにしろ、できないことばかりなんですから。

だからこそ、手にした勝利を毎日のように喜んでくれる人が必要でした。だって成功は、それがどんなに小さなものでも、心を勇気づけてくれるものですから。


引用文献:
ジル・ボルト・テイラー著, 竹内 薫訳(2009)『奇跡の脳』新潮社, p.142

GGというのはテイラー先生のお母様のニックネームです。
お母様はテイラー先生の回復を支えてきたキーパーソンです。
無条件に自分を受け容れてくれる誰かによって、自分の成功や進展を喜んでもらえるということは、どんなに心強いことでしょう。たとえそれが小さな歩みの結果であったとしても。
テイラー先生はお母様が小さな喜びを分かち合ってくれました。

喜びを分かち合うということは、できたということを認めることにもつながっていきます。自分だけができたと思うのではなく、誰か他の人の目から見ても、それをできたと評価してもらえることは、本人にとってできたことを再認識するきっかけとなるのですから。

わたしを看護してくれた人たちは、過去の業績を忘れ去る自由を初めから許してくれていましたから、自分の新しい興味の領域に狙いを定めることができ、それはきわめて重要なことでした。
これまでのわたしではなく、これからのわたしを愛してくれる人々が必要だったのです。
ずっと昔から慣れ親しんできた左脳が、より芸術的で音楽的な創造性のある右脳を抑制しなくなると、すべてが変わってしまいました。ですからわたしには、自分自身を作り直す努力を支えてくれる家族や、友人や同僚が必要だったのです。

根幹の部分では、わたしは、かつて家族や友人が愛してくれていたのと同じ人間のまま。ですが、今では脳に受けた傷のために脳の回路は変わってしまいましたし、それによって、外の世界の見方も変わってしまいました。外見は変わらなかったでしょうし、最終的には脳卒中の前と同じように歩いたり、しゃべったりするようになりましたが、わたしの脳の「配線」は昔とは異なっており、興味を覚えることも、好き嫌いも、前とは違ってしまっているのです。


引用文献:前掲書, pp.135-136

病気によって失ったり衰えてしまった能力を嘆くよりも、テイラー先生がおっしゃるように「自分自身を作り直す」つもりで始めることが、肝心だと言えます。
そして「これまでのわたしではなく、これからのわたしを愛してくれる」こと。それは、変化し続けていく現在と未来を丸ごと受け容れることなのだと思います。どんなに変わっても、それでも、自分のことを受け容れ、支えてくれる存在がいるからこそ、自分は変わって行く可能性に不安や恐れを感じることなく、安心して時を過ごすことができるのだと思います。

お見舞いに来てくれた人々が前向きのエネルギーを見せてくれることが大切なのです。

会話することはもちろんできませんが、訪ねてきた人たちがちょっとのあいだ部屋に入ってきて、わたしの手をとって優しくゆっくりと、彼らがしていたこと、考えていたこと、そしてどんなにわたしの回復力を信じているかを伝えてくれると、とっても嬉しい。

逆に、ものすごく心配なのよぉ、という負のエネルギーを発散しながら入ってくる人に対応するのは、とても辛い。

与えてくれるエネルギーがどんな種類のものなのか、責任をもってください。
まゆを優しく上げて心を聞き、愛をもたらしてください。
極端に神経質で、心配しているか怒ったように見える人たちは、治療には逆効果なのです。


引用文献:前掲書, pp.145-146

何かためになることをやろうと気負ったり、立派なことを言おうとしなくても、良いのです。
ただそこにいて、心の中のあたたかい気持ちを伝えるだけで十分。

 
お子さんの回復を信じ、今日の命を感謝して、小さな前進を喜ぶことが、病気の日々をに彩りをもたらすこととなります。      
2014/9/9  長原恵子