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ポジティブな言葉で変える人生の認識

エッセイ「自分で守る前頭葉と神経回路」ではネガティブな思考に伴う言葉によって前頭葉の機能が抑制されることを、そして「言葉と遺伝子発現」では、ネガティブな言葉が左側頭葉のウェルニッケ野の機能制御遺伝子やストレス防御の特異遺伝子を阻害することについてご紹介いたしました。それではポジティブな言葉はどのような影響をもたらすのでしょう。
アメリカの脳神経学者 アンドリュー・ニューバーグ先生の説明を見てみましょう。

ポジティブで前向きな思考を持ち続けると、前頭葉が活性化する。前頭葉内にある特定の言語中枢は、運動の計画や実行を担う運動皮質に直結している。
そして私たちが行った研究結果が示すように、ポジティブな言葉に集中する時聞が長ければ長いほど、脳の他の領域に影響を与えることとなる。頭頂葉の機能が変化し始め、それによって自己や他者に対する認識が変化する。自己肯定は他者の長所に目を向けやすくし、自己否定は不信感や疑念に傾倒させる。また視床の構造も、意識的な言葉、思考、感情に反応しながら徐々に変化していく。視床構造の変化は、現実を認知する能力に影響を与えると思われる。
ここで例を挙げてみよう。「平和」という言葉を心の中もしくは声にして意識的に唱え続けると、自分や他者に対して安堵の気持ちが次第に湧き上がってくるのを感じるだろう。それは平和というメッセージに視床が反応し、視床を通じてそのメッセージが脳の他領域に伝達されるためだ。つまりドーパミンに代表される快感物質が放出され、報酬系が活性化し、不安や不信感が消え、全身がリラックスするのだ。


引用文献:
アンドリュー・ニューバーグ, マーク・ロバート・ウォルドマン著, 川田志津訳(2014)『心をつなげる』東洋出版, pp.45-46

ポジティブな思考によって前頭葉が活性化し、更に頭頂葉の機能が変化し、自己肯定感が生まれてくるということは、病気のお子さんにとっても、ご両親にとっても大切なことです。現実を認知する視床の構造も変化していくということも大きな意味を持つと言えるでしょう。
たとえお子さんの病状、生活環境、置かれている状況が好転していなかったとしても、苦しさや悪い感情が先に立つのではなく、自分の心にとって居心地の良さを感じることができるようになるかもしれません。

ポジティブな言葉を、ある一定の期間復唱し続けると他者への共感力がはぐくまれる。実際に最新の研究結果では、そのようなトレーニングによって、大脳新皮質の厚みが増し、闘争・逃走反応を引き起こす扁桃体を縮小させることが明らかになっている。
我々が行った脳スキャン調査結果は、ポジティブな思考、気持ち、結果に意識を集中することは世界中のいかなるドラッグよりも絶大な効果があり、特に昔からのクセ、習慣、信念を変えようとする場合でその効果は顕著だと示している。私が知る限りでは、その全過程を担っているのは、言語を基本としているときの脳内活動だ。
言語や言葉の使い方を変えると意識に変化が訪れ、その変化は人生における思考、感情、行動すべてに影響をもたらす。そしていつか、穏やかで前向きな気持ちで、過去の嫌な記憶を語ることができるようになるかもしれない。
すると過去の記憶は姿を変え、それまでとは違う形で脳内に整理されるのだ。そして次回思い返すときには、記憶に新しく織り込んだポジティブな言葉と共に想起される。(略)自己に内在する言葉を変えることで、自分の生きる現実を書き換えることだってできるのだ。


引用文献:前掲書, pp.46-47

言葉によって、自分の意識が変わり、自分の生きる現実が書き換えられるということは、あなただけでなくお子さんや他の家族にとっても意味があるのではないでしょうか。

人間の脳は驚くほどクリエイティブで、まるで脚本家のように四六時中、ポジティブなシナリオとネガティブなシナリオを捻り出しているが、大抵の人はそれを自覚していない。たとえ気づいたとしても、擦り切れたレコードが同じフレーズを何度もリピートするように、頭の中のおしゃべりは延々と続いていく。
なぜなら物事を繰り返すという思考パターンは、変化に強い抵抗性を示す頑丈な神経回路を形成するからだ。だからこそ新しい神経回路を形成するために、新しい考え方、話し方、聞き方を常に取り入れていかなければならない。
私たちはネガティブ思考に囚われて負のスパイラルに陥ることもあれば、もはや必要のない長年のクセや習慣を変えることもできる。それが想像力の力なのである。


引用文献:前掲書, p.47

言葉によって変えられる人生、それはまさに自分で作り上げていく人生だと言えるように思います。

 

言葉によって変わる人生の感じ方が、あなたとお子さんにとってより良い変化をもたらしますように…               

長原恵子