病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
 
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幸せに意識を集中させて、呼び寄せる治癒力

代替療法によって劇的な寛解を遂げた元がん患者20名にインタビューされたアメリカのケリー・ターナー先生は、患者が病気に対して闘争精神を持つことは良くないと見出しました。なぜそれが良くないのでしょう。

抑うつ状態にあるがん患者は「もう諦めたい」といったことをよく口にします。その姿勢は「どうしても生きたい理由を持つ」人とは正反対です。

否認はがん患者の寿命を延ばし、抑うつはその逆に働くことを科学は明らかにしてきました。
では「どうしても生きたい理由を持つ」とどんな効果があるのでしょう。
これはやや、難しい問題です。がん患者の健康にこの思いがどう作用するかを調べた研究は多くないからです。けれどもいわゆる闘争精神、ファイティング・スピリットの作用について調べた研究は多くあります。

「生きたい理由を持つ」ことと、闘争精神は、かなり意味が異なります。「闘争精神がある」とは、その人ががんと闘っているということを意味します。
一方、「どうしても生きたい理由を持つ」場合は、何かと闘う必要はないわけです。むしろ、その人が人生のよろこびや意義、幸せに意識を集中させている、という意味です。

がんからの回復者は、「どうしても生きたい理由を持つ」傾向がいくつかの研究で明らかになっています。強い闘争精神を持つと、その人の体では、つねに軽い「闘争・逃走反応」が生じている可能性があります。すると免疫システムが弱くなり、ストレスホルモンが恒常的に血中に放出されることになります。

わたしたち狩猟採集民族の脳はそれを、つねにトラのような猛獣に追いかけられ、戦闘態勢にあるようなものだと解釈します。質の高い研究が多くおこなわれてきたのに、「闘争精神を持つ」つことががん患者の延命を促すという結果、が出ていないのは、そのせいだとわたしは考えています。

一方、「どうしても生きたい理由を持つ」と、人は人生によろこびをもたらすことに意識を向けるようになります。「闘争・逃走反応」はオフに、「休息・修復反応」がオンになります。そして体内では、セロトニン、リラキシン、オキシトシン、ドーパミン、エンドルフィンといった免疫向上ホルモンが放出されるのです。


引用文献:
ケリー・ターナー著, 長田美穂訳(2014)『がんが自然に治る生き方』プレジデント社, pp.339-340

「闘争・逃走反応」では闘う相手となるもの、あるいは逃げなければいけない相手(ここでは病気)がいて、そこから守るべき「自分」がいるわけです。つまり自分はいつもその相手(病気)に怯えているということ。
今まさに身の危険を感じるような場合、確かに闘争・逃走反応は非常に有効であるものの、日常的に闘争・逃走反応が続き、それに終わりが見えてこなければ、身体にとって弊害の方が大きく出るのは、自明の理ですね。

どうして病気から回復したいのか、回復したら何をしたいのか、それが明確になっていることにより、その方の人生の時間軸の先は、彩られていくことになると思います。希望や展望がないと「病気は治った、でもその後、どうすればいいの?」と空の巣症候群のようになってしまうかもしれませんね。あるいは「あんなに頑張ったのに、良い結果が出ない。ちっとも病気が治らない。これ以上、私はどうすれば良いと言うの!?」と自暴自棄になってしまうかもしれません。
そして極端な言い方をすれば、治っても治らなくても、それでもいつも何かに幸せを感じられる状況でなければ、人は生き辛くなってしまうのだと思うのです。

「人生のよろこびや意義、幸せに意識を集中させている」というターナー先生の言葉、良い言葉ですね。
それに通じるものとして、代替医療の施術者らの次のような考え方があります。

身体をリードするのは心であり、その逆はあり得ません。そのことについてはたびたび本書で記してきましたが、何度くり返してもよいほど大切なことです。
科学的にもこの事実は明らかになっています。人が心に思考や感情を強く抱くと、即座に、強力な作用のあるホルモンが血液中に放出されます。放出されるホルモンの性質は、思考や感情の内容によって変わります。身体に有益にもなれば、有害にもなるのです。

代替治療の観点から説明しましょう。生への強い意志は体内の「気」の流れをよくします。治療者によると、「気」は身体に命を吹き込むエネルギーです。わたしたちは息を吸うのと同じように、生へのよろこびを感じているときには命の息吹を吸い込んでいます。逆に生への意欲を失うと、命を支える息吹を吸い込む力が不足してしまいます。


引用文献:前掲書, pp.332-333

人生のよろこびや意義、幸せに意識を集中させることは、命の息吹を吸いこむことに等しい…そう思えると、身体の変化ばかりに気持ちがとらわれてはいけないと、気付くことができます。

病気のことばかりが頭の中を占拠して、明るい話題が入り込む隙間などない場合が多いけれども、常に自分が生きていく理由を探し、見つけ出していくことは、身体の面からも、そしてその人自身のエネルギー的な面からも、とっても大事なのです。

自分が何をしたいか、それを考え、希望を明確にして
あなたの治る強い力をしっかりと呼び寄せましょう!
2016/3/25  長原恵子
 
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「幸せに意識を集中させて、呼び寄せる治癒力」※本ページ