昨日、下りのエスカレーターで、私の前には幼稚園の年長さんくらいの女の子とお母さんの親子が立っていました。
女の子の髪はきれいにとかされて、ポニーテールにまとめられ、かわいい髪飾りがきらきら光っていました。そして女の子の耳には補聴器が…。
それは隠すわけでもなく、実に潔く、とても自然に女の子の一部になっていました。
「あー」と声を出しながら「一緒に」という手話をしているのが見えたので、一瞬、最近読んでいるヘレン・ケラー女史のことを思い出しました。
そして「この女の子も知りたいことや伝えたいこと、きっといっぱいあるのだろうなぁ」と考えていました。
すると突然、女の子は後ろを振り返ってこちらを見たのです。
目が合ったので思わずにこっと微笑み返したら、女の子はきょとんとした顔で私の顔を凝視して覗き込み、前を向きました。
「知らないおばちゃんを見て、戸惑ってしまったのだろうか…」と思ったところ、3秒ほどして女の子は振り返り、にっこり笑いました。
その後、振り返り、微笑み、手を振り、最後にはハイタッチをしようと右手を上げてきました。
エスカレーターが廊下に到着するまでの僅かな間に。
廊下についたので、私と女の子は真逆の方向へ分かれたのですけど、その女の子は2度振り返って「バイバイ」と手を振っていました。
その後10mほど歩いたのですけど、もしかして…と振り返ってみたら、
同時に女の子が振り向き、手を大きく伸ばして上げていました。
時間にしてたぶん数分の出来事だろうと思います。
でもその女の子は私の心をとてもあったかくしてくれました。
年を重ねて、心のくすみがたまっていた私には、その女の子が実に神々しく見えました。
ヘレンは次のように記しています。 |