ヘレン・ケラー女史の自叙伝の中には、目と耳が不自由な方との交流のお話がいくつか記されています。ヘレンがあまりにも有名であるため、目と耳が不自由だという方 =(イコール) ヘレン・ケラーというイメージが大変強くあったのですが、当時いくつもの不自由さを抱える方がこんなに多くいらっしゃって、決して有名ではなかった方々も、それぞれがしっかりとご自身の人生を生きていらっしゃった、ということを知り、驚きと敬服の気持ちでいっぱいとなりました。
さて、今日ご紹介したい方はその中のお一人、フランスの女性でバース・ギャロン女史です。ギャロン女史は10歳のとき失明し、やがて数週間後に聴力も失われたのだそうです。それでも教育は「細心の注意と熱心とをもって授けられ、ことに文学の鑑賞ということにかけては特別の注意が払われた」のだそうです。何もかも、あきらめるのでなくて、そのお子さんにあった教育がいかに大切であるか、あらためて知ることができます。
ギャロン女史はヘレンの自叙伝を読んで、読唇術によって意思疎通が図れることを知りました。それがきっかけで、二十年来お手紙のやり取りが行われ、交流を深められました。
ある時、ギャロン女史は自作の詩をヘレンに贈ったそうですが、ヘレンはその詩に次のような感想を寄せました。 |