2015年夏、横浜市の金沢動物園に行きました。その動物園出入口に続く道沿いに、鮮やかな黄色、山吹色、オレンジ色、淡いピンク色のランタナのお花が、緑色の葉っぱをバックに、美しく咲いていました。あんまりきれいなお花だったので、近寄って眺めていると、どこからか、アゲハチョウがひらひらと…。
そのアゲハチョウ、よく見ると羽の一部が欠けているのです。
どこか木の枝にひっかかってしまったのか、あるいはどこかに挟まって、破れてしまったのか…それとも、さなぎから羽化した時から、元々羽が傷ついていたのか…。理由はわからないけれど、羽が一部欠けていました。
痛々しい感じがいっぱいだったのですけれど、でもそのアゲハチョウ、傷ついた羽をパタパタさせながら、ランタナの花の蜜をおいしそうに吸っていました。あっちのお花、こっちのお花と、飛び回りながら。
動物園の入口に続く外側の道の空を、自由に飛んでいたアゲハチョウ。決して、動物園の飼育スタッフの方から、お世話を受けて生きている蝶ではありません。
でも、こうしてしっかりと自分でお花を見つけて、蜜を吸いに来ている…
その姿を見て思ったのです。
本人にやる気があれば、なんだってできるんじゃないかって。
アゲハチョウの羽は、人間から見れば「美しいなあ」って感じるものではあるけれど、当のアゲハチョウにとっては、生きていくために必須のもの。だって大切な栄養源となる蜜を持ったお花のところまで、アゲハチョウは、自分で飛んでいかなくちゃいけないんだから。
その羽が傷つくって、人間の想像以上に、アゲハチョウにとっては命取りになる重傷なのかもしれない。
それでも、こうやって、自分でお花までたどり着いているわけで…。
名残惜しい気がしたけど、夕方、そろそろ日が落ちていく時間帯だったから、ランタナの道を後にしました。もしかしたら、あのアゲハチョウは何かを教えにきてくれた、天使だったのかなぁなんて思いながら。
あのアゲハチョウ、まだ横浜の空をパタパタと飛んでいるかな。
元気に過ごしているといいね。 |