選択を正解にするための努力 |
病気の治療の中で一番厄介なものは、なかなか治らない病変部ではなくて、自分の心かもしれません。
自分の前に提示されるいくつかの選択肢、その中で1つを選んで進んでいくことは、とても難しいですね。自分ではこれが一番良い、と思って選んだつもりでも、周りから、その選択に異議を唱える人が出てくるかもしれません。周囲の人々は専門家だったり、家族だったり、それは様々。その人たちに共通するのは、あなたに良かれと思っての発言だけれど、考え方、価値観が違うと、意見がぶつかることも多々あるでしょう。そうした時に、一番辛いのは、あなたですね。
自分の選択に自信を失ったり、意見の違いによって生じる気まずさの中で、いたたまれない気持ちになったり…。それが原因で、気分が鬱々としたり、イライラすることもあるかもしれません。
そういう時に「思い出してほしいな」って思える素敵な言葉がありました。先日、観たある韓国ドラマの中に。 |
タイトル |
「ラスト・チャンス」
〜愛と勝利のアッセンブリー〜 |
制作局 |
KBS |
演出 |
ファン・インヒョク、チェ・ユンソク |
脚本 |
チョン・ヒョンミン |
制作年 |
2015年 |
|
第2話の後半に登場する場面です。
会社から不当なリストラを受け、仲間と共に会社を相手取り労働運動をしていた溶接工 ジン・サンピル(チョン・ジェヨン)氏。
ある日、キョンジェ市の補欠議員選挙が行われることとなり、政治とは無縁の世界で生きてきたジム氏に突如、与党 国民党の事務総長であるペク・ドヒョン(チャン・ヒョンソン)氏から声がかかったのです。党公認の立候補者になるようにと。
当初、その依頼を断固拒むジン氏でしたが、会社との争いで組織委員長をしていたジン氏は、だんだん心が揺れました。なぜなら、ペク事務総長はジン氏が国民党公認候補として出馬したら、リストラされた仲間たちの解雇条件改善を会社側へ交渉する、と提示していたからです。
悩んだジン氏は、ペク総長に電話をしました。 |
ジン氏 |
ジンです。本当に会社と交渉してくれますか? |
ペク総長 |
候補になるなら |
ジン氏 |
和解……できますね? |
ペク総長 |
お任せを。委員長? |
ジン氏 |
私の選択は正しいんでしょうか |
ペク総長 |
私も時折 悩みます。
“この選択は果たして正しいのか” |
|
人生と政治の共通点は何だと思います? |
ジン氏 |
何です? |
ペク総長 |
正解がない。
あるのは選択のみです。
選択を正解にするため
努力すること
それが人生であり 政治です。
選んでください。 |
|
「ラスト・チャンス」
〜愛と勝利のアッセンブリー〜
第2話より(36分過ぎに出てくる場面)
脚本 チョン・ヒョンミン
|
|
|
治療の選択も同じことかもしれません。人間の身体はロボットではないのですから、治癒の過程も違います。正解がない、のかもしれません。
もしあなたが最善の選択をしているにも関わらず、いつも気持ちが晴れることなく、不安と後悔の渦中で過ごしていると、自分で新たなストレスを作り出していることになってしまいます。
交感神経も常に緊張し、体内のホルモンバランスも崩れて、「治りにくい身体」に導かれてしまうかも…。
それって、本末転倒ですね。
どういう選択であっても、それがあなたにとってのベストになるように努力していくこと、そうした時間をあなたが重ねていくことは、必ずあなたを助け、あなたを支えてくれる力に変わっていきます。それは私自身が自分の治療の選択で経験しているから、強くそう思うのです…。 |
|
|
「あの時、ああすれば、こうすれば…」そんな思いが湧き続ける時は、まずは「選択を正解にするための努力」に取り掛かってくださいね。 |
2016/8/11 長原恵子 |