2018年5月、訪れた北海道 松前公園に「幸福」と名付けられた桜の木がありました。そしてその木に添えられていた解説板にはとても心あたたまるお話が書かれていたので、ご紹介したいと思います。
そちらによると松前町の法幢(ほうどう)寺には来歴不詳の八重桜があり、その桜は「法幢」と仮称されていました。
しかしこの桜は老齢で衰弱していたことから
昭和35(1965)年、地元の松前町桜保存子ども会は品種の保存目的で種子を5粒採取しました。
やがて月日は流れ、5粒のうちの1粒が生き抜いて見事に成長していきました。そしてこどもたちは昭和55(1980)年5月5日に、その木に「幸福」と名付けたのだそうです。
もしかしたらそのままお寺で枯死していたかもしれないこの桜。こどもたちのおかげで命拾いして、20年かけて立派に成長したというわけです。そして「幸福」と名付けられてから私が訪れた時は更に38年の時間を経ていたけれど、上の写真のように枝いっぱいにお花が咲いていました。灰色の空からは雨が断続的に振っていたけれど、それでもしっかりと空に向かって枝を伸ばし、きれいに咲いていたお花たち……。実に感動的でした。枝の1つ1つのお花が「幸福」を象徴しているかのようでした。
枯れて息絶えてしまいそうな木の中にも、素晴らしい可能性を秘めた生命力がある。それは人間も同じなのだと思う。きっと。
病気のこどもたちとこの桜「幸福」の姿が重なって見えたのでした。
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