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家族の気持ちが行き詰まった時
親の悲しみを上回るもの

お子さんの病気のことを考えると、心に湧き上がる思いは、嘆きや悲しみばかりで、そうした気持ちを払拭することができない…そういう時期を過ごされている親御さん、いらっしゃると思います。辛いですよね。親御さんだって一人の人間ですから、大きく感情に揺さぶられるのは当然のことです。でも、もしかしたらその悲しむ親の姿を、親以上にもっと辛い思いを抱きながら見ているのは、お子さんかもしれません。

そうしたことに気付くきっかけになった言葉が、東田直樹さんの本の中にありました。直樹さんは自閉症ですが、その胸の内を言葉として綴り表すことができる方です。直樹さんが中学生の時に書かれた本『自閉症の僕が跳びはねる理由 会話のできない中学生がつづる内なる心』の中に、このような箇所がありました。

みんなは気づいていません。僕たちが、どんなに辛い気持ちでい
るのか。
僕たちの面倒をみるのは「とても大変なのよ」と、周りにいる人
は言うかも知れません。
けれども、僕たちのようにいつもいつも人に迷惑をかけて、ばかりで誰の役にも立てない人間が、どんなに辛くて悲しいのか、みんなは想像もできないと思います。


引用文献:
東田直樹(2007)『自閉症の僕が跳びはねる理由 会話のできない中学生がつづる内なる心』エスコアール出版部, p.60

しかし直樹さんは、そうした辛い思い以上に、自分が耐えられないと感じるほどの思いにいたることがありました。

側にいてくれる人は、どうか僕たちのことで悩まないで下さい。
自分の存在そのものを否定されているようで、生きる気力が無くなってしまうからです。
僕たちが一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいること
です。
自分が辛いのは我慢できます。しかし、自分がいることで周りを
不幸にしていることには、僕たちは耐えられないのです。


引用文献:前掲書, pp.60-61

こちら、直樹さんが中学生の時の言葉です。
中学生がこんな風に、自分のこと、周りのことを考えているのです。悲しみを生みだしている源、それを消したいと思うことは自然な心の流れです。でもまさか親の悲しみの源が自分だと気付いたなら、どんなにお子さんはショックでしょう。
何とか自分を改めなくては…といった思いに押しつぶされそうになりながらも、手術や薬、その他の治療ですぱっと治るような病気でない場合、お子さんはいたたまれない気持ちでいっぱいになることでしょう。
そうした現実と自分の心との間に板挟みとなり、どうしたらいいんだろうと、途方に暮れることでしょう。

自分の居ても良い場所、居場所が見つけられない子の苦しみは、親の悲しみ以上にもっと酷なものかもしれません。
それは元の病気以上に、手こずることになります。

100年後、何か画期的な治療が生まれているかもしれない。でも、今、この生きているこの瞬間に、治療を求めているのに、得られない…そうしたジレンマを抱えたまま、心を傷めてずっと過ごしていくよりも、もっと違った時間の流れを作ることが、できるような気がするのです。
悲しむ親を見て生み出される子の辛さは、親の気持ち次第で消していくことができるのだから。
そして気持ちとは、自分が主体となって生み出すものだから。

あなたは悲しみのどん底かもしれないけれど、あなたを、もっともっと辛い思いで見ているお子さんがいることを、どうか忘れないで。
長原恵子
 
関連のあるページ(東田直樹さん)
「親の悲しみを上回るもの」 ※本ページ
「自信が導く新しい道」
「拡大するこどもの意識」
「深い底にあるもの」
「重症であるほど潜む大きな力」
「幸せの必要十分条件」
「深まる理解と居心地の良さ」
「病気や障害を伝えることの意味〜親にとって子にとって〜」