病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
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病気と一緒に生きていくこと
たとえ、周りがどうであっても
ー青空の下、ハナズオウが教えてくれたことー

コロナ禍で遠出を控え、人混みへの外出も避けるようになり、一人で近所を静かに散歩する時間が増えるようになって気付いたことがありました。それは普段の街の中で見つける植物や木々の小さな変化です。これまで慌ただしい流れの中では、特に記憶の中に留めておくような場所ではなかったところに、思いがけない発見が舞い込んできます。今春見つけたハナズオウが、その一つでした。少し濃いピンク色のお花は枝に所狭しと密集して咲き、まるでピンクのさざれ石を集めて作ったネックレスのようです(写真1)。いくつもの枝の中に、青空に向かってガッツポーズしているみたいな枝がありました(写真2)。自然の妙のなせる技というのか、何だかそれだけでワクワクしてくる。しばらくハナズオウと空を見上げていたら、いろいろ心の中に浮かんでいた雑念はどこかに消えてしまいました。

小さなかわいいお花たちに埋もれた枝の先には細い枝がすっと伸びて、二股に分かれた先には若葉が芽吹いていました(写真3)。凛としたその枝の先をズームしてみると、葉っぱはハートの形です(写真4)。少しくすんだ緑色の若葉もあれば、さんさんと注ぐ陽光に透けて鮮やかな黄緑色の若葉もありました。青空の下、ハナズオウのお花と若葉のコントラストが実に清々しく思えました。冬の間は素っ気ない枯れ木だったはずなのに、こうしてしっかりお花と若葉を生み出したとは!その枝も幹も地中の根っこも偉大です。

人間世界の時間がどれだけ慌ただしく過ぎていようとも、木々の中では粛々と彼らの時間が過ぎていて、そこで静かにしっかりと成すべきことを果たしているんだなあ。物言わぬ木々に教えられたこと。

写真:
写真1-4 ハナズオウ(2021/3 東京・練馬 光が丘 当方撮影)
 
病気であっても、周囲がいろいろ落ち着かず、心揺れたとしても、自分のやろうと思ったことに向かって時間を積み重ねていけば、いつか結果がついてくる。それは人間も自然も同じなのかなあと思います。
2021/7/28  長原恵子