わたしの胸をついて出た最初の叫び声は、「どうしてこのわたしがこんな目に遭わなくてはならないの?」という、そうです、避けることのできない悲しみを前にした人はだれもが、昔から幾度となく発してきた、あの叫び声だったのです。
この疑問にたいする答えはありうるはずもなく、じじつ、なにもありませんでした。そして、とうとう絶対に答えがないのだと悟ったとき、わたしは意味のないものから意味をつくり出そう、たとえそれが自己流の答えであってもよい、答えをつくり出そう、そんなふうに決意したのです。(1)
娘の生命はみんなのようではないとしても、彼女だけのあり方で価値あるものと認めなくてはならないのです。(略)わたしがこのように心を決めるまでには時間がかかりました。少しずつ、少しずつ決心を固めていったのです。(2)
引用文献:
(1)パール・バック著, 伊藤隆二訳(1993)
『母よ嘆くなかれ[新訳版]』法政大学出版局, pp.7-8
(2)パール・バック著, 伊藤隆二訳(1993)
『母よ嘆くなかれ[新訳版]』法政大学出版局, pp.8-9 |