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左脳出血から8年かけて回復された神経解剖学者のジル・ボルト・テイラー先生(詳細はこちらをご参照ください)は、いつもポジティブシンキングでいられたわけではありません。様々に生じてくる感情のバランスを、一生懸命とられてきました。
嫉妬、恐れ、怒りといった悲観に充ちたループを頭の中に巡らせる否定的な細胞を、テイラー先生は「役員会の面々」と名付けました。
嫉妬、恐れ、怒り…それは病気になったら、どなたも持つ感情でしょう。もちろん病気にならなくても、そのような感情は起こるものですが、その感情が向けられる先が他者と関わる特定の出来事であったものが、自分自身の命自体に向けられることが、大きな違いではないかと思います。
テイラー先生はそうした感情が、自分の中で多くを占めるようになった時に、次のようにしたそうです。

マイナス思考の細胞たちは、幼い子供のようにわたしの言うことを聞かず、わたしがどれくらい本気なのか試そうとするのですから。いったん、静かにするように言われると、細胞たちは一瞬だけ沈黙し、またすぐ禁じられた回路を作動させます。他のことを考える欲求が弱かったり、新しい思考回路を意識的に始めないでいると、招かざるループはふたたび勢いを盛り返し、心を独占し始めます。
そんな細胞の活動に対抗するため、意識を振り向けるべき三つのリストが必要に応じて用意してあります。

(I)魅惑的で、もっと深く考えを巡らせたいことを思い出す。
(II)ものすごく楽しいことを考える。
(III)何かやりたいことを考える。

自分の心を変えたくてたまらないとき、わたしはこの三つの武器を利用するのです。
からだが疲れていたり、精神的に参った状態にあるとき、つまり、油断しているときを狙って、否定的な思考回路が人を傷つけようと頭をもたげることに気づきました。脳が言っていることに注意し、その考えがからだにどのような感覚をもたらすかに気づけば、自分が本当は何を考えたり感じたりしたいのか、意のままに選べるようになります。
もし内なる平和を保ちたいなら、ぶれることなく、いつでも心の庭を育てなければなりません。そして、一日に何千回も、決意を新たにする必要があるのです。


引用文献:
ジル・ボルト・テイラー著, 竹内 薫訳(2009)
『奇跡の脳』新潮社, pp.187-188

テイラー先生が挙げられた3つのリストは、きっとあなたのご家庭でもあてはまると思います。少しでも楽しいと思えることがあって、その楽しさをもっと広げようと思ったら、うんとたくさん、その実現に向けて考えることが出てきます。それを考えていたら、それまで雨雲のようにもくもく湧いていた懸念事項は、押しのけられてしまいますから。頭の中はあっちもこっちも、楽しいことを考えるために総動員していれば良いのです。

自分の心の中が平安な気持ちで充たされることは、自分でそれを選びとり、作り出すことが大事なのですね。
「ぶれることなく、いつでも心の庭を育てなければなりません。」
人それぞれ持って生まれた資質があることでしょう。何かに元々長けていたり、秀でていたり…でも、心の庭を育てることは皆等しくできることです。それはあなたのお子さんもできること。あなたもできること。

でも、時には弱気になる時だってあります。
テイラー先生もそうでした。

頭のなかに響く対話、つまり独り言には要注意。なぜなら、ちょっと油断すると、一日に何千回だって、以前の自分と比べて劣っていると感じてしまうからです。つまるところ、脳のはたらきを失ったわけですから、自分自身を哀れむほうが自然なのです。
でも幸いなことに、右脳がもたらす歓びと祝福の気持ちが非常に強かったので、自分がダメだとか可哀想だとか思ったり、気分が落ち込んだりするのを防ぐことができたのです。


引用文献:前掲書, p.143

あれこれ考え始めて、それがあなたやお子さんの心を苦しめることになるのであれば、意識的に、それを止めてしまえば良いのです。
それは現実を直視していないのではなくて、現実から逃げているのではありません。崖から落ちそうになる自分を、その手前でしっかりと引き留めているのですから。

 
大切なお子さんの人生。わくわくする気持ちは、良いエネルギーを放ちながらお子さんの細胞のすみずみまで伝わるはず。
2014/8/11  長原恵子
 
関連のあるページ(ジル・ボルト・テイラーさん)
<当事者の立場>
消えてしまったなら、作り出す
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自分が育てる心の庭 (※本ページ)
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