病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
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悲しみで心の中がふさがった時
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2013/5/29、アルフォンス・デーケン先生の2013年キリスト教入門講座前期(東京都千代田区 岐部ホール)では「生きがい 人生の意義を探る」というテーマで講義が行われました。
その際、デーケン先生はマックス・シェーラーの「悔恨と再生」という論文を取り上げられたご自分の著書を引用されて、過去の時間をどう考えていくかお話をされました。

人間は川の流れとちがって自分の存在をさかのぼることができるばかりでなく、過ぎ去った事柄の一面を変更することさえも可能なのである。(略)
人間には過去の行為の意味と価値を左右する力があるのである。もちろん、自分が直接に関係したある具体的な行為も、その行為から生ずる外面的な結果も変更することはできないが、しかしその内面的な意味と価値は修正することができる。(略)
悔恨という行為によって、人間は過去の生活の悪質な部分を切り捨て、残りの部分を再評価して有意義なものに作り変えてゆくことができる。(略)
悔恨こそ自己再建を実現する偉大な力であり、精神の世界ではこれ以上に革命的な効果を及ぼすものはないのである。


引用文献:
アルフォンス・デーケン著, 松本たま訳(1997)
『改訂新版 第三の人生』南窓社, pp. 63-64

このお話を伺いながら、お子さんを亡くしたご両親の後悔のことを考えておりました。どれほど一生懸命看病しても、もうこれ以上できないほど心を尽くしてお世話をしても、お子さんが亡くなった後に「もっと早く病院に連れて行けば良かった…」とか「OOしておけば良かったのに…」そんな思いがいくつも、いくつも浮かんでくるものです。
そして「できた」ことよりも「できなかった」ことにばかり考えが及んでしまいます。

でもあなたのお子さんは、そのような後悔の涙にくれるご両親の姿を望んでいるわけではありません。いろいろな制約があったにもかかわらず、それでも一生懸命自分のことを看病してくれたご両親に感謝の気持ちを向けているはずなのです。

自責の念や後悔があなたの心を押し潰してしまいそうな時は、あなたの心が「お子さんとの思い出や出来事を一層苦しいものへと認識している」状態を変えていくことが必要です。

お子さんとの思い出や出来事を変えるのではありません。
「苦しみを生み出すばかり」であった思い出や出来事を、もっと違う見方や立場からもう一度捉え直していくことが必要だ、と私は思います。
ご本人はそれになかなか気づくことができませんが、それをすることによって、お子さんを思い出す時に、満ち溢れていた苦悩から抜け出すことができるのです。

 
あなたが過去の苦しい思い込みを変えていくことができますように…。
2013/11/25  長原恵子