抑うつは病気のようにみえるが、実際には悲嘆のプロセスの進んだ段階である。なぜなら抑うつは、無意識のうちに喪失を受容し、死んだものを生き返らせるという幻想を手放したことをあらわしているからだ。
その受容が意識化されたときに悲しみは終わり、喪失経験をわがものとして(それを人生のあらたな局面を切りひらく、天与の贈り物として感じる場合さえある)、感情はふたたび平静にもどるのである。
引用文献:
アンドルー・ワイル著, 上野圭一(1995)『癒す心、治る力 自発的治癒とはなにか』角川書店『癒す心、治る力』, pp.123-124
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