病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
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お子さんに先立たれた後「今、あの子はどこにいるのだろうか…」という気持ちを抑えられなくなる方もいらっしゃるでしょう。通っていた学校のあたりを歩いても、いつも使っていた駅の改札に行っても、よく遊んでいた公園に行っても、思い出の場所に行っても、見つけ出すことのできないもどかしさは、あなたの心を余計辛く締め付けてしまうかもしれません。それぞれの信仰に伴う死後の世界観によって、その辛さは異なるとは思いますが、時にはそれがお子さんを亡くした寂しさや悲しみ以上に、自分の心に重くのしかかってくるかもしれません。

金子みすゞ女史の詩の中にこんな詩がありました。

失なつたもの

夏の渚でなくなつた、
おもちやの舟は、あの舟は、
おもちやの島へかへつたの。
月のひかりのふるなかを、
なんきん玉の渚まで。

いつか、ゆびきりしたけれど、
あれきり逢わぬ豊ちやんは、
そらのおくにへかへつたの。

蓮華のはなのふるなかを、
天童たちにまもられて。

そして、ゆふべの、トランプの、
おひげのこはい王さまは、
トランプのお国へかへつたの。
ちらちら雪のふるなかを、
おくにの兵士にまもられて。

失くなったものはみんなみんな、
もとのお家へかへるのよ。

引用文献:
金子みすゞ(1984)『金子みすゞ全集 2 空のかあさま』
JULA出版局, pp.141-142

※WEBの都合上、旧漢字は当方が常用漢字に直して載せています。

おもちゃの舟も、豊ちゃんも、お髭の王様も元の場所へ帰ったけれども、その途中、決して寂しく暗いところを通って行ったのではありません。
美しい月光の差し込む中、きらきらと光る美しいガラス玉の渚へ、
蓮華の花が降る中を、優しい天の子どもたちに守られ、天の世界へ、
雪の降る中を兵士に守られて、トランプの国へ。

それぞれが頼もしい介添えと共に、美しい場所に向かい進んでいった…
そして、美しい世界で楽しく過ごしている…そのように考えることは、心の中に落ち着きを取り戻すための手助けになるように思います。あなたのお子さんもそのはず。
だって、あなたのお子さんが暗くて悲しい場所に行かなくちゃいけない理由なんて、ないでしょう。

駆け足で逝ってしまったあなたのお子さんは、あなたを悲しませるために生まれてきたのではありません。短い命の時間の中で、長寿の方と同じくらいぎゅっとつまった幸せを、あなたに届けてくれたのですから。

 
お子さんが届けてくれた幸せは、あなたの生活のあちこちに隠れています。お子さんがあなたに遺してくれた宝探しをしていきましょう。
2014/3/11  長原恵子