病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
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ぼくは元気だよ
〜亡くなったこどもから親へのメッセージ〜

お子さんが亡くなったあと、1人で先に逝かせてしまった、大丈夫だろうか…と心配になる親御さんは多いこと思います。
そのような方に、今日はご紹介したいエピソードがあります。ビル・グッゲンハイム氏、ジュディ・グッゲンハイム氏の著書『生きがいのメッセージ』に登場する3つのエピソードです。

カナダのプリンスエドワード島の小売店で働いているアンさんは、息子さんを2人、水の事故で亡くされました。溺れてしまった弟のボビーさんを助けようとした、お兄さんのジャスティンさんも亡くなってしまったのです。ボビーさんは17歳、ジャスティンさんは18歳でした。
一度に2人も前途有望な若者を亡くしたお母様のアンさんは、どれほど深い絶望の渕に立たされたことでしょう。
その一年後、アンさんは台所で弟のボビーさんの姿を見かけたのです。
ボビーさんは茶色と白のチェック柄のシャツに、茶色のコールテンのズボンをはいて、元気そうな姿で冷蔵庫の前に立っていました。そして食器洗浄機にお皿を入れるアンさんを、見つめていたのです。

ボビーさんは声にして言葉を発することはありませんでした。
でも、アンさんに向けられたキラキラ光る瞳と笑顔から、アンさんは次のメッセージを感じることができたのです。

「ぼくらは二人とも元気だよ。何も心配はいらない。
だから、母さんも、自分の生活を大事にして、
安心して暮らしてほしいんだ」

引用文献:
ビル・グッゲンハイム著,ジュディ・グッゲンハイム著, 飯田史彦責任編集, 片山陽子訳(1999)『生きがいのメッセージ』徳間書店, pp.103-104

アンさんは思わず駆け寄って、ボビーさんを抱きしめようとしましたが、ボビーさんの姿は消えてしまいました。でも、アンさんは、ボビーさんのメッセージを確かに受け止めることができた、と確信できたのです。
きっと、傷心の母親を励まそうと、現れたのですね。

病気で長患いをした末に亡くなった場合も、お子さんは元気な姿で現れるようです。アメリカ ヴァージニア州で弁護士をしているポーラさんのお話です。ポーラさんは12歳の息子ジミーさんを、白血病のため亡くされました。亡くなってまだ2週間の頃、それは葬儀が終わり、人の出入りが減って急に孤独感が増す頃でしょう。ポーラさんは朝、目が覚めた時、「底知れない寒さみたいな悲しみに襲われていた」そうですが、ふと自分のベッドのそばに、ジミーさんが立っていることに気付いたのです。

にこにこ笑っているんです。全身が見えました。この世のものでない感じなんか、どこにもありません。青いショートパンツに縞のTシャツという普通の子どもなんです。

白血病だなんて、とても思えませんでした。髪だってふさふさしているし。最期のころはほとんど髪がなくなっていたから、かえって変でしたけど。顔の横の手術の傷あとも、もうありませんでした。

ジミーはこう言いました。声が聞こえたんです。
「ママ、ぼくは死んだよ。でもそれって平気なんだ。すごく元気なんだよ」って。

元気なころと、何一つ変わりませんでした。動きがのびのびしていて、見るからに幸せそうで、そして消えていったんです。

ちゃんとあの子の顔を見て、元気だって聞いて、本当に安心しました。そのとおりだということが、信じられましたから。

でも、あの子が自分で言いにきてくれたのもうれしくて、いっぺんに気持ちが明るくなりました。本当に奇跡みたいな出来事で、思い出すたびに笑顔になれるんです。


引用文献: 前掲書, pp. 104-105

ポーラさんはどれほど嬉しかったことでしょう。
ジミーさんが亡くなる前、ポーラさんの心の目には治療で憔悴しきった息子の姿が、強烈に焼き付いていたことと思います。ですから「すごく元気なんだよ」というジミーさんの言葉は、何よりポーラさんの心に、あたたかい火を灯すことになったでしょう。

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こういうエピソードを聞いても、「それは親の幻聴や幻視、思い込みではないか?」と思う方がいるかもしれませんね。でも次の精神科医の言葉を知ると、そんな風に一蹴してはいけないと思えることでしょう。

アメリカ ケンタッキー州の精神科医フィリップさんは、自動車事故のため15歳のお嬢さんティナさんを亡くされました。人気者で友人の多かったティナさんの死を悼み、こどもたちとその家族、300人近くの方が、葬儀の晩にフィリップさんの自宅に集まったのです。
その時フィリップさんは、はっきりと、「パパ、大好きよ」というティナさんの声を聞きました。
幻聴でしょうか?
いえ、フィリップさんは次のように語られています。

ぼくは一応、お上の認める精神科医だ。
ありもしないものを、見たり聞いたりする癖はないよ。
長年、筋金入りの科学人間として仕事をしてきたから、まさかこんなことが自分の身に起きるなんて、夢にも思わなかった。

だけどこの出来事は、人を失うつらさをずいぶんやわらげてくれた。本当に失うわけじゃないってことが、わかったからね。


引用文献: 前掲書, p.48

 
事故、災害、事件、けが、病気…どんな亡くなり方をしたとしても、お子さんはあちらの世界で癒され、元気になっています。それを誰よりも親であるあなたに知ってほしいと思っているのです。     
2015/10/16  長原恵子