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アート・歴史から考える死生観とグリーフケア |
月文黒茶碗(初代高橋道八・個人蔵) |
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作品名: |
月文黒茶碗 |
作者: |
初代高橋道八 |
員数: |
1口 |
制作年: |
江戸時代,
18〜19世紀 |
所蔵先: |
個人蔵 |
出展先・年: |
サントリー美術館, 仁阿弥道八展, 2015年 |
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黒い上品な艶のある茶碗ですが、その側面には
淡黄色、ベージュのように見える満月のような大きな図柄が、描かれています。解説板によると黒釉を意図的にかけはずして作り出されたものとのこと。
その絶妙なかけはずしはやっぱり芸術ですね。
その茶碗表面の細かいざらざら感は、まるで月の表面のクレーターのようなです。右側に雲がかかり、その雲から漆黒の夜空にかけて、満月が3/4ほど顔を出したような、そんな図柄です。
それを見ていたら、あるご家族のことを思い出しました。
お嬢さんとの最期の時間を惜しむには、あまりにも短すぎる、悲しいお別れだったご家族です。
お父様も、お母様も、ここ1カ月はきっと闇の中を手探りで歩くような心地だったことでしょう。その茶碗を見ていたら、その闇から、お父様とお母様の心の月が、少しずつ美しい姿を現すような、そんな気持ちがいたしました。きっとお空のお嬢さんも、雲から顔を出す美しい満月を、心待ちにしていると思います。 |
2015/2/5 長原恵子 |
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