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アート・歴史から考える死生観とグリーフケア |
Marine
(William Trost Richards・アメリカ ポートランド美術館蔵) |
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作品名: |
Marine |
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(撮影許可あり) |
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作者: |
William Trost Richards
(American,1833-1905) |
技法: |
Oil on canvas |
制作年: |
1884 |
所蔵先: |
Gift of Mr. Charles E.Ladd in memory of his mother
Mrs. W. S. Ladd
アメリカ, ポートランド美術館所蔵
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出展先・年: |
アメリカ, ポートランド美術館所蔵, 2015年 |
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ポートランド美術館(アメリカ・オレゴン州)の中でも、私にとってもっとも印象深かったのがWilliam Trost Richards氏の作品「Marine」です。
広々とした海原とその水平線の彼方には一隻の船が進んでいるのですが
その波の様子が、実際の海以上に何か海の含んでいる言葉を語っているかのような感じを受けて、思わず何度も戻って見てしまいました。
水、波に命が吹き込まれているかのような。
そこから語り継がれた昔話や伝説が生まれそうでしょ。
なんだか。
解説板によると彼は水の動きと力に魅せられるようになり、夏になるとイギリスの海岸沿い、コーンウォールの海岸を訪れて絵の勉強の研鑽を積んでいたのだそうです。
そうしたところから、抒情的な太陽の光を受けて光る波しぶきが、描けるわけなんですね。やっぱり。
約130年前に描かれた海、波がここに生き返っているかのようです。
風や引力によって潮の流れや向きが変わって波ができる、
なんてことは、まぁともかくとして、一瞬、消えたように見える波の山は、すぐまた別のところにまた山ができて、またそれは消えて、次の場所へあらわれて…
それは懐かしいこの世の家族に会いに来た、先立ったこどもたちの魂のようです。あらわれる先が、両親やきょうだいの夢の中だといいのにね。
Richard氏の「Marine」からは、そうした魂の永続性が、感じられるように思いました。 |
2015/3/19 長原恵子 |
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