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アート・歴史から考える死生観とグリーフケア |
山清全州崔氏古霊宅喪輿
(韓国国立民俗博物館蔵) |
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作品名: |
山清全州崔氏古霊宅喪輿 重要民俗資料第230号 |
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制作年, 国:
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1856, 韓国 |
所蔵先: |
韓国国立民俗博物館(ソウル) |
出展先・年: |
韓国国立民俗博物館(ソウル)常設展示, 2014 |
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韓国では死者の埋葬後、27カ月間喪に服することを「サンレー(喪礼)」と呼び、一般的に「サムネン・サン(三年喪)」と言われるそうです。朝鮮時代、親が亡くなった時、この「サムネン・サン(三年喪)」は儒教の孝の理念にしたがって、こどもの義務とされました。喪に服している間、こどもは一切の仕事から手を引いたとのこと。官職につくことも、農事を行うこともなく、「サンチョン(喪庁)」や「ヨマク(廬幕)」で寝起きしました。そして、朝晩の食事を作り、親が生きていた時と同じように、お墓の中の親にそなえたそうです。遺体を埋葬する際、生活に必要な器「ミョンギ(明器)」も一緒に埋めたそうですが、こどもが亡くなった場合はおもちゃなども埋めたのでしょうか…?
遺体を埋葬地まで運ぶ時に使われたのが「サンヨ(喪輿)」です。喪輿を担いで運ぶために、12~24人の担ぎ手が力を合わせました。多くの村では喪輿は、普段、地域から少し離れた保管場所に分解保管されていました。必要な時に喪輿を共用したわけですが、上の写真の喪輿は慶尚南道山清郡の崔必周氏(1796〜1856年)のために特別に作られたものです。崔氏は大変裕福な家で、長男が彫刻師を招いて半年かけて制作させたとのこと。
輿の上には4層構造の大きな建物があり、手すりには木の人形が飾られたり、屋根の上には鳥が飛んでいます。死者を守り導くものでしょうか?
実際、展示物を見ると、喪輿がかなり高さがあるので圧倒されました。
死後の世界へ移り行く乗り物が、こんなに美しい彩色、彫刻が施されたものであれば、行き着く先も色鮮やかな場所のような気がしてきます。
こちらの見事な喪輿は160年ほど前のものですが、死後も新たな世界で生き続ける、という世界観がリアルに伝わってきます。
参考資料:展示会場解説版+韓国国立民俗博物館ウェブサイト
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2017/10/2 長原恵子 |
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