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アート・歴史から考える死生観とグリーフケア |
顔面付壺型土器ほか
(明治大学博物館蔵) |
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作品名: |
顔面付壺型土器
須和田式(出流原式) 重要文化財 |
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制作年, 国:
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紀元前3(2)世紀
栃木県佐野市 出流原(いずるはら)遺跡
1964-1965年発掘 |
所蔵先: |
明治大学博物館(東京) |
出展先・年: |
明治大学博物館(東京)常設展示, 2017 |
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出流原(いずるはら)遺跡は昭和39(1964)年、栃木県佐野市の市立出流原小学校のプール建設の事前調査で、発見された遺跡です。ここには弥生時代中期前半の再葬墓群があり、37基もの墓壙が認められたそうです。そこからは一度埋葬後、骨化した遺体を再葬する時に骨をおさめるために用いられた細頸壺形土器や、副葬品としての管玉が発見されました。
37基の墓壙の中でも、11号墓壙は特に有名です。出土した顔面付土器は大変印象的ですね。この他、壺型土器も昭和57(1982)年6月、国の重要文化財に指定されました。顔面付土器の高さは21.6cm。とても存在感のある土器(上の写真)です。
さて、なぜ土器に人の顔があるのか?ですが、山形県立博物館発行の『平成七年 特別展 古代人の原像ーかお ・手・ あし-』によると人面土器は「骨壺として使用されることもあったが, 普通は副葬品として, 墳墓群の中の限られた1 つの墓穴の中に納められたもので,墓全体の霊を鎮め,見守る,祖先の霊を帯びた像とみられている。」のだそうです。
11号墓からは出土した壺は11個。このうち10号壺と11号壺に人骨入っていたそうです。顔面のついていないシンプルな壺型土器も、直線、曲線、円、点などで美しく飾られています。当時の人々は故人を再葬する時、掘り起こした骨を単なる物質としてみなしたのではなく、故人として尊重したことが、とても強く伝わってきます。
参考資料:
明治大学博物館 展示解説パネル
文化遺産オンライン 下野出流原遺跡出土品
山形県立博物館発行資料『平成7年特別展 古代人の原像ーかお ・手・ あし』p. 30
佐野市HP佐野市指定文化財 出流原遺跡出土弥生時代資料
春成秀爾(1993)「弥生時代の再墓制」国立歴史民俗博物館研究報告第49集, pp.47-91
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2017/10/6 長原恵子 |
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