この土面の表情はとてもやわらかです。凛々しい眉や高い鼻、そして鼻と口元までの幅の広さから大人の顔を模している様に見えます。集落で尊敬される長老などの顔だったのでしょうか。
それでも口元などはあまりにもあどけない素朴な表情のため、老人というよりは少年の方がピンと来る感じもあります。例えば彫りの深い顔立ちの少年を模した土面?もしそうだとしたら、夭逝した幼児のデスマスクとして作り、自分たちの生活空間の中に写真のように飾っておいたとか…。
そんな風に考えるとこの土面、家族の手によって土がこねられ、形が作られ、焚火の中にくべられてできたものかもしれません。「いつまでもずっとそばにいてほしい」そういう願いと涙と共に。 |