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アート・歴史から考える死生観とグリーフケア |
小型陶棺
(東京国立博物館 蔵) |
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品名: |
小型陶棺 |
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出土: |
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数量: |
1個 |
時代: |
古墳(飛鳥)時代・7世紀 |
所蔵先: |
東京国立博物館蔵 |
展示会場: |
2017/11 東京国立博物館 平成館
(写真撮影許可あり)列品番号:J-37293
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品名: |
小型陶棺 |
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出土: |
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数量: |
1個 |
時代: |
古墳(飛鳥)〜奈良時代・7〜8世紀 |
所蔵先: |
個人寄贈・東京国立博物館蔵 |
展示会場: |
2018/4 東京国立博物館 平成館
(写真撮影許可あり)列品番号:J-6024
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陶棺は大型のものは全長1.5m以上ありますが、60cmから1.5mくらいまでの中型、60cm以下の小型の陶棺もあります。中型は小児用または改葬用として、小型は火葬用の蔵骨器(※1)として用いられました。
上の写真の岡山県津山市の小型陶棺は長さ41cm、高さが13.5cm(※2)ですから、随分コンパクトで素朴な作りですが、大きさの割には円筒形の太くがっしりとした足がつけられています。
陶棺は岡山・近畿から出土する例が圧倒的に多勢ですが、九州中部から東北南部にかけて出土しています。下側の小型陶棺は群馬県太田市から出土した稀少な例です。 |
小型の陶棺の中から実際に人骨が見つかった例は、岡山県倉敷市にあります。昭和32(1957)、倉敷市広江の山裾を開墾中に見つかった須恵質四注家形陶棺です(※3)。こちらは高さ31cm、長さ38cm、幅30cmの小型陶棺でしたが、土混じりの火葬骨で内部は満たされていました。コンパクトとは言え、陶棺の胴の部分が6.1kg、上の蓋の部分は3.7kgもあり、存在感十分の陶棺です。倉敷考古館のサイトでは写真も出ていますので、ぜひ見てみてください。
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さて、上記2点の写真、家形の棺が実は高床であることがとても気になりました。「高床」と聞くと多くの人は「倉庫」「ネズミ返し」を連想するのではないでしょうか。小学生の頃は確かにそう習ったように思います。弥生ミュージアムも「竪穴建物は主に住居に、高床建物は主に倉庫に使われました」(※4)と記されていました。しかしまさか物を収納していた倉庫の形を亡き人の棺の形にするはずもないと思うのです。高床「倉庫」ではなく、「住居」としての利用もあったのでは?と思って探してみると、学研のキッズネットでは高床倉庫と高床住居がそれぞれ別に解説されていました。高床住居は「倉庫や身分の高い人の家に利用されていた」(※5)とありました。
亡き人が心地良く過ごせるように、身分の高い人がかつて生前暮らしていた家を模して、陶棺を作ったのではないでしょうか。高床であった方が雨や雪、風通し、虫の害に悩まされることも少ないでしょう。それは死者への思いやりかもしれません。 |
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<参考文献・ウェブサイト> |
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2018/8/23 長原恵子 |
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