二十四歳の女性ジル(仮名)は、非常に重いお産に苦しんでいた。医師は帝王切開を決意し、彼女に脊髄麻酔を施した。
麻酔は、背中から、予想もしない範囲まで広がってしまい、全身が麻痺してしまった。麻酔医がすぐに対処したので、ジルは酸欠にも陥らず、医学的には臨死といえる状態にはならなかった。
また、幻覚を起こす可能性のある薬物も一切投与されていない。
ところが帝王切開の手術のあいだに、ジルは自分が体を離れ、輝く光の球に引きこまれるのを感じた。その球の中にいるとき、ジルは“愛情に満ちた声”が大声でこういうのを聞いた。
「お前は戻らなくてはならない。だが、わたしは赤ん坊をここへもらうよ。ここなら心配ない」
女の赤ちゃんは死産で、産声さえも上げなかったと医師が告げたとき、ジルはもうそのことを知っているといい、何があったか話した。
ジルは医師に、光の球の中へ赤ちゃんと一緒に行ってきたこと、そして赤ちゃんは神さまが守ってくださっているとわかっていることを話したのである。
引用文献:
メルヴィン・モース/ポール・ペリー著, 池田真紀子訳(1995)『死にゆく者たちからのメッセージ』同朋舎出版, p.116 |