わたしたちには、不死のたましいというものがないのです。
もう二どと生命を持つことがありません。ちょうどみどりのアシのようなもので、一ど、かりとられたら、もう二どとみどりの芽をだすことはありません。
ところが、人間には、いつまでも生きている、つまり肉体が土になったあとでも、生きているたましいというものがあるのです。そのたましいはすんだ大気の中を、キラキラ光っているお星さまのところまでのぼっていくんです。
わたしたちが海の上まで浮かんでいって、人間の国を見るように、人間のたましいは、わたしたちのけっして見ることのできない、未知の美しい世界へのぼっていくのです。
引用文献:
ハンス・クリスチャン・アンデルセン著, 大畑末吉訳(2000)
『アンデルセン童話集2 新版』岩波書店, p.115 |