病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
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死後も娘を守ろうとする父

お子さんが亡くなる時、先に亡くなっているお子さんの友達が迎えに来てくれるだけではありません。亡くなった家族も来てくれます。それをしっかり実感できるお話が、アイルランドでありました。ウィリアム・バレット先生の報告によるものです。

ここでウィリアム先生について少しご紹介しておきたいと思います。
ウィリアム先生は、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍された、物理学者です。ダブリン王立科学大学で物理学教授としてを研究をされていました。しかし1924年、奥様で産科医のフローレンス・バレット先生から、ある不思議なお話をを聞いたことにより、人の最期について研究するようになっていきました。
それは1924年1月12日に起きた出来事のお話です。アイルランドのダブリン マザーズ病院で奥様のフローレンス先生は、心不全を患う女性の出産に立ち会っていました。出産は心臓にとても大きな負担をかけたことでしょう、その女性は途中、危篤状態になってしまいました。
その時です。女性が父親と姉の姿を見たのは。
父親は既に他界されていました。そして実は姉も3週間前に亡くなっていました。しかし、心不全を抱えてこれから出産という大変な時期に、精神的なショックを与えないようにという配慮から、女性には伝えられていなかったのです。
その女性は不思議だったことでしょう。亡くなった父親と生きている(と思っていた)姉が、一緒に会いに来てくれたのですから…。
とにかく、女性は無事、出産することができました。
出産を終えた後、女性は二人の姿を見たことを話しました。そしてフローレンス先生から、ウィリアム先生にその話が伝えられたのです。

人の最期の瞬間について研究をするようになったウィリアム先生は、調べた事例について、イギリス心霊研究協会発行の機関誌編集者にお話をされており、それが今に伝わっています。
その中に、17歳のお嬢さんを病気で亡くされた女性の文章が、残されています。

数年前に起こった出来事を、ここに事実のみ、そのままの形で書き記したいと思います。

私は、17歳になる娘を失いました。娘は5年にわたって闘病生活を続け、最期の8カ月間は寝たきりの状態でした。娘は亡くなるまで、常に非凡な知性と、意思を持ち続けました。

娘は、何か夢中になっているような表情をしていたので、私は
『何を思っているの?』と聞きました。
すると娘は、ベッドを囲むカーテンを指さして、
『ママ、あそこを見て』と言うのです。

示された方を見ると、そこに人の形のようなものが立っているのが見えました。背景のカーテンの暗い色とは違い、すべてが白いもので、際立って見えました。
私は霊のことなど全く思ったことのない人間でしたので、驚愕のあまり目を閉じ、それ以上見ないようにしました。

娘は私に言いました。『見えるでしょう?』
私は、ふるえる声で『何も見えないわ』と言いましたが、娘は私の弱さを見透かすように言ったのです。

『ああ、ママ、私はこの3日間というもの、いつも同じ時間に同じものを見ているのよ。あれは亡きパパだわ。
私を迎えに来てくれているの!』

娘はこの15日後に亡くなりました。
しかしあの白いものは、再び私には見えませんでした。
私が見たあの日、その出現の強さはきっと頂点に達していたのだと思います。               Z・G(サイン)

引用文献:
レイモンド・ムーディ著, ポール・ペリー著, 堀天作訳(2012)
『臨死共有体験 永遠の別世界をかいま見る』ヒカルランド, pp.183-184

既に亡くなっていたお父様が迎えにきてくれたと感じられたことで、きっと17歳の少女は心細さが減っていったことでしょう。
それは自分の死後も「すべてが無に帰するわけではない」とわかり、続く命を実感できたと思うからです。
多感な時期の少女にとって、死イコール無に帰する と考えてしまうと、毎日恐ろしさが拭えないかもしれません。だからこそ、父の出現は大きな安心につながったと思うのです。
キリスト教の結婚式では「死が二人を分かつまで…」といった文言によって、お互いの愛情が確認される場面があります。でも死が人々を別れ別れにさせるわけではありません。
この少女と父親のお話からも、この世の命が終わった後も、死後の世界で違った形で命は続き、この世の人々が必要としている助けの手を差し伸べてくれるのだと、知ることができますね。
大切な人とのつながりは、この世とあちらの世界といった違いを超越して、続いていくのだろうと思います。

 
お子さんが亡くなる前、きっといろんな縁によって、お子さんはしっかりと守られていたはずです。それを思い出して。      
2014/9/27  長原恵子