金銅製沓(国宝) (江田船山古墳出土・東京国立博物館蔵) |
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作品名: |
金銅製沓(こんどうせいくつ) ※国宝 |
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(撮影許可あり) |
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出土・技法: |
熊本県和水(なごみ)町 江田船山古墳出土 |
員数: |
1双 |
制作年: |
古墳時代・5〜6世紀 |
所蔵先: |
東京国立博物館 |
出展先・年: |
東京国立博物館 平成館, 2018年4月 |
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以前、2015/2/24にこちらのページで熊本県の江田船山古墳出土の金銅製沓を取り上げましたが、その後、韓国の国立全州博物館で韓国 高敞郡 鳳徳里古墳群1号墳出土の金銅飾履を見た時「江田船山の金銅製沓もすごかったはずだ!」と思い出し、もう一度ちゃんと日本の沓も見ようと思い、2018/4、東京国立博物館に行ってみました。 |
長さ34cmのこの沓、それ以上に大きな印象を受けます。鳳徳里古墳群1号墳出土の透かし彫りのような華やかさはありません。しかしながら小さな粒の集まりで描き出された線は亀甲文を生み出し、その連続が実に美しい品のある沓です。粒の連続は角度を誤ると、線自体がずれてしまうことになりますが、そのようなこともなく、美しい亀甲文がいくつも連なっていくことは、本当に見事です。そして同時に想像をはるかに超える根気のいる作業だったことでしょう。 |
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この沓は1枚の金銅の底板に2枚の側板を合せ、鋲で綴じて形作っています。
その鋲もまた随分はっきりと残っています。とても1500年近く前のものとは思えないほど、現実感が漂っています。 |
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沓の底面に見えるのは方錐状のスパイクで、片足それぞれが踵の方から爪先に向かって左右一対に4組、そして爪先付近に1本、計9本装着されるデザインになっています。 |
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江田船山古墳から金銅製沓と共に出土した鏡や耳飾りなどを見ると、これが中国や朝鮮半島から渡ってきたものであるのか、或いは彼の地の影響を強く受けて日本で作られたものなのかはわかりません。しかしながら埋葬された人物にふさわしい立派な死出の旅路のために、心を込めて誰かが造り、あるいはそれを手に入れて埋納されたものであることは間違いないですね。 |
改変 2018/5/5, 初出 2015/2/24 長原恵子 |