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大人の既成概念では計り知れない才能や心の芽を、いくつも隠し持っている…それはたとえどのような病気があったとしても、きっと、どの子にも授けられているのだろうと思います。ただ、そうした才能や心の芽が日常生活の中で露見する機会がなかったり、あまりに周囲が忙しすぎて、そこに目を留める時間がなかったり…ということは多々あることでしょう。
それは決して才能や心の芽が「ない」ということではなく、「周りが見過ごしてしまう」「周りが気付いていない」だけなのだろうと思います。

佐々木博之さん・志穂美さんご一家(詳しくはこちらをご参照ください)の次男の大(だい)君、三男の航(わたる)君のエピソードの中に、そうしたことを考えるきっかけがありました。

まずは大君が絵本を見ていた時のお話から。
お母様の志穂美さんが長男洋平君に代わって、気持ちを綴られている本
『目がみえない 耳もきこえない でもぼくは笑ってる 障がい児3兄弟物語(株式会社KADOKAWA)』の中に登場します。

ダイ、小さいとき、絵本をみて、泣いたことがあったよね。
町にいっぱい人がいる絵がかいてあったんだけど、そこに車いすの人がいないって、
「ヨッチ、いない」
って、泣いてくれたんだよね。

絵本のなかに、ぼくをさがして泣いてくれる弟なんて、世界中でダイだけだよ。
自分はまいごになっても、泣かないくせにね。

ダイ。
もし、生まれ変わることができても、また兄弟になろうな。
ダイってさ、次男なのに、ぼくがこうだから、長男みたいな性格になっちゃったよな。
なんでも弟にゆずってさ。航なんか、えんりょなしだよな。

今度はさ、おまえが末っ子になれよ。ぼくはさ、もう1回、お兄ちゃんをやるよ。
今度こそ、ちゃんとおまえをかわいがるよ。

だから、泣くな、ダイ。
ぼくはいつもそばにいる。


引用文献:
佐々木志穂美(2015)『目がみえない 耳もきこえない でもぼくは笑ってる 障がい児3兄弟物語』株式会社KADOKAWA, p.181

普段は療育園に暮らすお兄ちゃんと、自宅に暮らす自分は離れていても、絵本の中に車椅子の人の姿を探す…それはお兄ちゃんのことをしっかりと、心に留めていることの現われとも言えますね。

次に三男航君のエピソード。

でも、航は、いつもカメラ目線でにっこりするんだよな。
重度の自閉症なのに、なんだか要領がいいんだよな。
おやつのとりあいのときだって、そうだよ。ダイととりあいはしない。けんかはせず、あきらめたふりをして、ダイのすきをみて、サッととっちゃうんだよな。
ダイってば、すき、だらけだもんな。

でもさ、お菓子の数が、ぴったり3つあるときは、航はちゃんとぼくにもくばってくれる。

ぼくが食べられないクッキーやおまんじゅうだって、ちゃんと枕もとにおいてくれてたよね。


引用文献:前掲書, p.183

お兄ちゃんがさくさくしたクッキーを、自分で噛んで食べられるかどうか、そんなことおかまいなしに、3つあるお菓子を独り占めすることなく、ちゃんと3つに分けておいていた航君…。そこにはお兄ちゃんに対する愛情が、うんと詰まっているような気がします。

病気によって、自分の心を表現することが非常に不得手で、人とのコミュニケーション方法が不器用であったとしても、こどもたちの心の中はのびやかで、優しいんだなって改めて気付くことができますね。

心の奥底は、こんなにもあたたかなのに、それをストレートに表せないことは、とっても、もどかしいだろうなあ。それは例えば、私たちが全く言葉の通じない国に行って、ディスカッションの輪の中に放り込まれたようなことなのかもしれないですね。そのディスカッションのテーマについて自分なりに深く感じ、考えているというのに、それをそのまま伝えることができないから、周りの人から自分をちっとも理解されない。まるで何もわかっていないかのように、判断されて、ディスカッションの流れから置いてけぼりになってしまう…そういう悔しさや苛立ち、悲しさを、自閉症をはじめとする、感情表現が不得意な病気のお子さんは、感じているのかもしれません。

 
世渡り上手ではないお子さん、なかなか心の底に宿る優しい気持ちを見せないけれど、思わぬところである時突然、現われてきます…。
長原恵子
 
関連のあるページ(佐々木博之さん・志穂美さん)
「7年越しの贈り物」
「平凡な日々が生み出す力」
「それでも頑張る人」
「「心のひとさし指」を見つけた母」 
「グアバの気持ち」
「つながる心」 ※本ページ
「幸せをもたらすいろいろな形」
「出会いを通して開く窓」
「手のひらの幸せに気付く人」