病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
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いつまでも続くきょうだい愛

お子さんが亡くなる時、先に亡くなっているお子さんの友達が迎えに来てくれる例や、他界している父親が迎えに来てくれる例をご紹介いたしましたが、今日は、死後も続く姉妹愛についてご紹介したいと思います。
アイルランドのウィリアム・バレット先生の報告によるものです。
ウィリアム先生の詳細についてはこちらをご参照ください。
イギリスの姉妹ミニーさんとアダさんのお話です。
二人は仲良しでしたが、二人とも同じ時期に天然痘にかかり、相次いで亡くなってしまいました。

G夫人は、8,9歳くらいになる小さな娘たちミニーとアダを連れて、田舎に居る義理の姉の家を訪ね、そこに滞在していました。そののち夫人は、二人の娘と保母をロンドンの家へ先に行かせるため、朝の列車に乗せ、数時間後には自分も列車でそこへ向かいました。

ところが、朝の列車でロンドンに向かったはずの娘の一人が、その日の夕方、義理の姉の家の部屋に、歩いて入ってきたのです。部屋には、娘と仲の良かった従兄がいました。娘はそこに来て言いました。

『ウォルター、あなたにさよならを言いに来ました。
もう会えないの』

娘は彼にキスすると、部屋の中で消えました。
青年がびっくり仰天したのも当然でしょう。なにしろ彼はその朝、列車に乗った娘たちと保母を見送ったのですから。

青年の前に娘の一人が表れたと同じ時期に、じつは娘たちは二人とも、ロンドンの家で急病のため死にかかっていたのです。家に着いて数時間後のことです。そこに呼ばれた医者によれば、最もたちの悪い天然痘とのことでした。

二人とも、その週のうちに亡くなりました。妹の方、ミニーが最初に死にました。
彼女が埋葬された翌日、娘に先立たれた悲しみの中で、母はもう一人の娘アダの容態を気づかっていかした。アダも絶望的な状態だったのです。ところが突然アダは一種の昏睡状態から目覚めて、ベッドの脚のあたりを指差しながら叫びました。

『ああ、ママ、見て!あの美しい天使たちを見て!』

G夫人は何も見えませんでした。しかし、そのとき静かで甘美な音楽が聞こえたと言います。それは空中にただようような音楽だったと。すると娘は再び叫びました。

『ああ、ママ、ミニーがいるわ。私を迎えに来てくれたのよ』

娘はそう言ってほほ笑み、とてもうれしそうな表情を浮かべました。そのときG夫人は、はっきりと、こう述べる声を聞いたといいます。

『アダちゃん、ここへおいで。あなたを待っているわ』

するとアダはもう一度ほほ笑み、安らかに息を引き取ったのです


引用文献:レイモンド・ムーディ著, ポール・ペリー著, 堀天作訳(2012)『臨死共有体験 永遠の別世界をかいま見る』ヒカルランド, pp.190-192

幼い二人の娘が急病に倒れ、十分に看病する時間もなく、次々と先立ってしまい、母親はどんなに辛かったことでしょう。
でも、美しい音楽、たくさんの天使たちと共に、娘(妹)が会いに来てくれたことにより、笑みをうかべて息を引き取れたもう一人の娘(姉)の様子を見て、心がどこか慰められたように感じられたのではないでしょうか。

それは幻覚にすぎない…そんな風に考える人が、いるかもしれません。
でも、これから息を引き取ろうとする娘と共に、同じ音楽を聞き、同じ言葉を聞けたことは、他人がどう言おうとも、母親にとっては紛れもない事実だったと思います。娘の笑顔が何よりの証拠でしょう。
そして、その経験は遺された母親にとっても、生きていく上でとても大きな力となる、贈り物になったと思います。
死後の生はきっとあるし、それは苦しむための生ではなくて、安らぎを得るための機会のように思えます。
病気で本当に大変な思いをしたお子さんであればあるほど…。

 
小さなこどもでも、思いやる心は十分育っています。亡くなったこどもたちたは、あちらの世界で、互いに仲良く助け合っています。 
2014/10/12  長原恵子