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本音の部分を言葉にして語り合えないまま、大切な人が死を迎えてしまった時、遺された人々は、もしかしたら悔やむ必要のないところに足をとられて、動けなくなっているかもしれません。
亡くなった人の側から考えてみると、自分が言葉にして伝えなかったことにより、本当の気持ちを理解されず、それによって大切な人が悩み、悔やんでいるならば、実に心苦しく、心残りですね。
でも、真実が伝わることにより、お互いの気持ちがわかったら…今日はそういう例として、あるご夫婦の話を、ご紹介しようと思います。大人同士のお話ですが、先立ったお子さんとご家族の間にも、きっと同じようなことがあると思うので…。
Mさんは奥様を胃がんで亡くされてから1年経った頃、ジョージ・アンダーソンさん(詳しくはこちらをご参照ください)のリーディングを受けました。そこで奥様は亡くなる前の頃の自分を振り返り、次のようなメッセージをMさんに送ってきたのです。 |
『最後にいろいろ、聞きわけのないことばかり言って
ごめんなさい。せっかく結婚して幸せになれたのに、
病気で死ななきゃならないなんてあまりにもひどい。
それに対して怒っていたの』
と言って、あなたに謝っています」
引用文献:
糸川 洋(2012)『トゥルー・ミディアム』Kindle版,
第三章 死別した夫婦の契りは……
「はやくリーディングをして!」 |
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入院生活も最後の頃、奥様はMさんにお願いして、CDプレーヤー付きのカセットデッキを病室に持ち込んでもらいました。奥様の要望通りに購入したカセットデッキでしたが、奥様は「私が欲しいのはこんなんじゃない」とMさんに文句を言い、当たり散らしたのです。
当時Mさんは、奥様が決してCDプレーヤーに文句を言っているわけではなく、病気の進行を辛く思っているのだと、言葉の裏に真の心情を読み取っていました。そして、新たにジョージさんを通して受け取った奥様からのメッセージは、やはりその通りだったわけで、Mさんの涙腺を崩壊させたのです。
奥様の方も、謝罪しないまま、逝ってしまったことを随分気にしていたのでしょう。続いて奥様は、亡くなった頃に抱いていた怒りの理由を、更に細かく、語り出したのです。 |
「『私はあなたに会うまで、苦労の多い人生だった。
あなたに会って、とても幸せになれたから、死ぬときには
無念の思いがありました。
だから死んだばかりのときは、怒っていたのよ。
死後の世界があるのは分かったけれど、肉体的にあなたや
娘と別れてしまっては、どうしようもないじゃない。
でも、今はそれを克服しています。
あなたと娘の守護霊になっています』
と言っています。」
「はい」
「『悲しいのはあなたひとりじゃない。
私がいつもそばにいるわよ。孤独じゃないのよ。
なんでこんな目に遭うんだ、などと、
あまり否定的に考えないで』」
「はい」
「『私が死んだことの悲しみがなくなる日はないと思うけど、
あなたにはあなたの人生があります。
このリーディングを節目に新しい生活に踏み出して。
もう生きるのもいやだという気持ちがあるのは
知っているけど、その気持ちは乗り越えてください。
お互いの過ごした時間は、いつまでも宝物のように
大事にしているから』
と言っています」
「はい」
引用文献:
前掲書, 第三章 死別した夫婦の契りは……
「感情を抑さえなければ、リーディングはできない」 |
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奥様はMさんや娘さんのことが気がかりだったのですね。
でも、Mさんから奥様への思いも、しっかりと奥様に届いていました。
ジョージさんは、メッセージを表すビジョンを通して、次のようにMさんに語りかけたのです。 |
「神社で彼女の名前を書きましたか」
「はい」
「絵馬のようなものが見えます。
彼女のあの世での平安を祈るようなことを書きましたね。」
「はい」
「その気持ちは彼女に間違いなく届いています。
あなたのことを彼女が光で包んでいます。」
「はい」
「あの世では時間の観念がないから、
『あなたと娘が来るのをいつまでも待てるわ』
と言っています」
「はい」
「彼女のお墓に行って、彼女に語りかけましたか」
「はい。娘がこんなことを喋るようになったとか、
いろいろ報告しています」
「『私はいつもあなたたちのそばにいるから、
わざわざ報告しなくても分かっているのよ。でもありがとう。
私はお墓の中にはいないけど、あなたが来たときはわかる
から、そのときはあなたのそばにいつもいるわ』
と言っています」
「はい、わかりました」
(略)
「お祈りを続けてください。
また会う日までさようなら、と彼女が言っています。
これで通信は終わりです。」
引用文献:
前掲書, 第三章 死別した夫婦の契りは……
「感情を抑さえなければ、リーディングはできない」
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亡くなった方に向けて、この世で語りかける思いはしっかり届いているのですね。「間に合わなかった」「今となっては、もう遅い…」そんな風に考える必要はないのです。
Mさんは奥様を亡くされる前に、ご両親やお姉様を亡くされていました。そのため、死についていろいろと考える機会がありました。そしてMさんは、人は亡くなると今度は生者の心の中で生き続け、見守るようになるのだと、漠然と考えるようになりました。でも一方で、自分が当事者となって死ななければ、そこははっきりしないと思う気持ちもありましたが、ジョージさんのリーディングで奥様からのメッセージを受け取ったことにより、それは納得したものへと変わっていったそうです。
奥様が亡くなられて1年、立ち直っている自分と悲しむ自分を自覚していたMさんでしたが、ジョージさんのリーディングを2回受けて、気持ちが変わっていきました。それは奥様から『さあ、元気を出して』とメッセージを届けられたことにより、悲しむ気持ちをすっかり払拭されたような気がしたからです。奥様から元気づけられ、立ち直るきっかけになったように思えました。気持ちの変化をMさんは、次のように語っています。 |
「悲しみを乗り越えて、生きる気力が湧いてきたことです。
自分では立ち直りが早いほうだと自負していましたが、
やはり一年経っても元の状態には戻りませんでした。
結局、残された人生を大事にして、充実した日々を過ごす
ことが、死者に対する最大の供養になるのだということを
知りました。(略)」
引用文献:
前掲書, 第三章 死別した夫婦の契りは……
「リーディングへの感想・その2」 |
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お互いを思いやる気持ちは、お互いの人生を大事に思う気持ちから生まれていたもの。それは死を迎えた後も、変わりなく続くのです。 |
2016/8/31 長原恵子 |
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