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アート・歴史から考える死生観とグリーフケア |
岩櫃山遺跡 壺型土器(岩櫃山式)
(明治大学博物館蔵) |
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作品名: |
壺型土器(岩櫃山式) |
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制作年, 国:
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紀元前4(3)世紀〜3(2)世紀,
群馬県吾妻郡東吾妻町 岩櫃山(いわびつやま)遺跡,
1939年発掘 |
所蔵先: |
明治大学博物館(東京) |
出展先・年: |
明治大学博物館(東京)常設展示, 2017 |
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群馬県吾妻郡の岩櫃山は標高795mの岩山ですが、その南面頂上から20m 下がった鷹の巣岩陰から、まとまって土器が出土したのだそうです。こちらは「石器と人骨がお墓から離れた地点で見つかっており、遺体処理と埋葬が別々になっている確実な例」(明治大学博物館)とのことで、弥生時代中期の再葬墓遺跡。
二千数百年ほど時代が流れるうちに、地形は随分変化を遂げてきただろうけれども、切り立った岩肌が存在感を強く示す岩櫃山の頂上付近。そこに再葬墓があったということが、何か意味があるような……より天に近い場所に眠ってほしいと思ったのでしょうか?
亡くなった方を土の中に埋葬し、骨だけになったら、その一部の骨を壺や甕などの中に入れて土中に埋納するわけですが、再葬を行うには何年も時間を隔てていたはず。当時人々は四季の移ろいによって「何回春が来たから、そろそろ…」そんな風に、適切な再葬時期を知ったのかもしれませんね。
こちら直線や波状の曲線など、美しい線文様が土器に刻まれています。高さ50p弱のこの壺、底辺の大きさに対して真ん中がかなり大きいため、安定性はそれほど良いものだとは思えませんが、その分、大事に大事に焼成したのだろうなあと思います。長い時間の流れがあっても、故人を偲ぶ気持ちを持ち続けていたことが伝わる壺型土器です。
参考:
明治大学博物館 展示解説パネル
群馬県埋蔵文化財調査事業団ウェブサイト
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2017/10/5 長原恵子 |
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