古代、人が亡くなると棺として甕が用いられた時代がありました。甕棺墓と言います。甕を一つだけ棺として用いる単棺の場合、その埋納されている様子から埋甕と呼ばれたり、また甕が伏せられた状態で埋納されている場合は伏甕といった呼び方がされます。これまでLana-Peaceのエッセイでも何度か取り上げました(※1)。 |
今日のご紹介は二つの甕を合せた複式棺の場合です。
甕は底に向かって随分細くなっています。展示会場では支柱があったので倒れずに立っていますが、そもそも地中に埋めることを前提に作られたため、こうした形なのでしょうか。壁面に黒くなっているところがありました。こちら甕全体ではなくて、一部であることから、甕を作る際にできた焼きムラの「黒斑」だろうと思います。 |
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甕の口縁部は平らになっていて、外側に向かって少し押し広げられていました。甕を上と下から合せた時に、きちんと密閉できるようにと形作られたものでしょう。丁寧な仕事ぶりが伺えます。
生と死の世界を隔てるため、とも考えられますが、そもそも亡くなった人が眠る空間(甕の内側)を土砂や異物が入り込まないように、落ち着いた空間を作ってあげたいという気遣いから生まれた工夫のように思います。 |
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<リンク先ウェブサイト> |
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<写真> |
写真1 |
下側の甕棺 側方より(当方撮影・撮影許可あり) |
写真2 |
小児用甕棺 上下の合わせ部分(当方撮影・撮影許可あり) |
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2018/8/21 長原恵子 |