年若く亡くなってしまったお子さんのことを考えると、ご両親の中には自分がこうして生きていることを、ただ、ひたすら申し訳なく思ってしまう方がいらっしゃいます。そして毎日の暮らしの中で、わざと苦しいことを選んで過ごしている方がいらっしゃいます。 おいしいものも食べる気がせず、どこかに出かけることも気が引けて、家の中でとじこもった方がいいという方がいらっしゃいます。 何かおかしなことを見聞きしても、それに笑ったりする自分を不謹慎に思う方もいらっしゃいます。 楽しいこと、幸せなことから、自分を遠ざけることは、もうこの世の生活を通してそれらを享受できないお子さんへの、罪滅ぼしのような気持ちを引き起こすのかもしれません。 お子さんが亡くなってから日が浅い時期は、確かにそうした行動によってあなたの心に、何らかの安定感をもたらしてくれることでしょう。それはきっと重要で大切な、心の動きだと思います。 しかしながら、お子さんはそのようなあなたの姿を、本当に望んでいるのでしょうか。 小田和正氏のアルバム「小田日和」の中に、次のような歌があります。
めまぐるしく 時は過ぎてゆく それなのに 自分から 悲しみを探してる
そんなことより 幸せになろう 誰にも負けないくらい 幸せになろう (略)
気持ち次第で 何とかなるから 心配しないで あとは明日に任せて
そんなことより 幸せになろう 誰にも負けないくらい 幸せになろう
そんなことより 楽しく生きよう 胸はって 歌うように 楽しく生きよう 引用楽曲: 作詞・作曲小田和正(2014) 「そんなことより 幸せになろう」(アルバム「小田日和」より)
この歌は先立ったお子さんがご両親に向けた気持ちを歌われているわけではないのですが、きっと、お子さんは同じような思いだと思います。 この世で生きる肉体をお子さんは失ってしまったけれど、今は肉体の束縛から解かれて、自由な存在になって、あなたをずっと守っているはず。 なぜなら、あなたに幸せになってほしいから。 あなたの人生に、楽しい瞬間がたくさん訪れてほしいと思っているから。 「そんなことより 幸せになろう 誰にも負けないくらい 幸せになろう」 お子さんがそう呼びかけていると心の中で思ってみてください。 あなたが幸せになることは、 あなただけが幸せになることではありません。 あなたに幸せになってほしいと願っているお子さんが、 その願いが叶って、嬉しく、幸せになれることでもあるのです。