数えきれない新たな思い出 |
19世紀のフランスのお話です。フランスのエコール・ポリテクニークで働いていた18歳の男性、モーリス・コントラン氏は胸の病気のために亡くなりました。モーリス氏は人としての資質に優れ、更に学業にも優秀であり、一人息子に先立たれたご両親の苦悩は大変深いものでした。身体の弱い息子に勉強をさせたことが、命を短くしてしまったのだろうか…と、悔やんだのだそうです。やがてご両親は生きる希望を失くし、厭世感でいっぱいになり、身体にも支障が出てきました。同じように感じられる方も多いと思います。
モーリス氏が亡くなってから数カ月後、モーリス氏は友人に次のような霊示を送ったのだそうです。それは両親へ伝えてほしいメッセージでした。 |
僕がまず先にやってきた世界、苦悩のいっさいない世界で、僕たちは、また会うことができるのです。(略)
お父さん、お母さん、よく聞いてください。私は、肉体を脱ぎ捨てて以来、ずっと、あなたがたのそばにいます。地上にいたころよりも長時間、あなたがたのそばにいるのです。
私は死んではいないのですから、どうか安心してください。
死んだのは私の体だけで、私の霊は永遠に生きているのですよ。
霊は、病気になることもなく、肢体の不自由さからも、苦悩からも解放されて、のびのびと幸福に暮らしているのです。
心配も危険もない場所で、純粋な喜びにひたされて、僕は何の憂いもなく生きています(略)
引用文献:
アラン・カルデック著, 浅岡夢二訳(2006)『アラン・カルデックの「霊との対話」天国と地獄』幸福の科学出版, pp.97-98 |
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お子さんが亡くなった後、その寂しさをどう乗り越えていけば良いのかわからないという方、とても多くいらっしゃいます。寂しさは何年経っても消えるものではありません。思い出深い場所を通りかかったり、思い出深い品を手にした時の心の揺れは、きっといつまでも続くことでしょう。
でもモーリス氏の言葉にあるように、お子さんはあなたのそばで、あなたのことを守っているのだと知ると、何だか心があたたかくなりませんか?
小田和正氏のアルバム「小田日和」の中に、次のような歌があります。 |
君のそばにいる 心にそう决めた
君のそばにいる 君を守って行く
悲しみを 消してあげることはできないけど
ここからは 二人 同じ道を行く
かぞえきれない 思い出を重ねて行けば
深い悲しみも いつか越えてゆける
引用楽曲:
作詞・作曲小田和正(2014)「二人」(アルバム「小田日和」より)
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この歌は小田さんがNHKの時代劇『吉原裏同心』(2014年6月より12回にわたり放送)の主題歌制作を依頼され、作られた歌です。
決してお子さんを亡くしたご両親のために作られた歌ではないけれども、まるでお子さんがあなたに伝えたかった思いが、歌われているように思いませんか。
「思い出を重ねて行けば、深い悲しみも、いつか越えてゆける」
その思い出は、お子さんが生きていらっしゃった時の思い出だけではありません。「あなたを守る」役目を持ったお子さんと、あなたが新たに一緒に作る思い出です。きっと。 |
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お子さんと一緒に、たくさんの数えきれない思い出を作れるように、今、生きているあなたの時間を大切にしてください。 |
2014/7/14 長原恵子 |